第33話 ページ2
もう！とジェイド先輩を追いかけていると、ふと服屋さんのショーウィンドウに目がいった。
シンプルな白いワンピースがトルソーにかけられている。
それは本当にシンプルなロング丈のワンピースで特別可愛いわけではなかった。
けど私はその服から目が離せなかった。
ジェ「Aさん？」
貴「え？！あ、すみません」
なんかよかったな、あのワンピース。
心が暖かくなるというか、そんな服だった。
ジェ「何かいいものでもありました？」
貴「そこの服屋のワンピースが気になってしまって。
重いもの持ってるのにすみません」
ジェ「欲しいんですか？」
貴「いや欲しいというか、なんというか…
そもそも私には買えない額でしたし」
ちらっと見えた金額。
私の財布の中身より０が多かった。
ジェ「僕も気になるので戻りましょうか」
貴「え？戻、ちょっと先輩？！」
ジェイド先輩はショーウィンドウの前に立つと、なるほど…とつぶやいた。
ジェ「確かにこのワンピース、とても美しいですね」
貴「なんかいいですよね。
私もこういうの似合う女の子になりたかったです」
今までオシャレとか気にしたことなかったし、一日のほとんど男性として過ごしているからこういうのに惹かれるの久しぶりだ。
ジェ「Aさん、少しこのお店入ってもいいですか？」
貴「いいですけど、なんか欲しいんですか？」
ジェ「フロイドにお土産を」
貴「あぁ」
そういえばフロイド先輩、靴とか好きだったな。
このお店色んな系統の服や靴売ってるみたいだし、いいかも。
貴「私もフロイド先輩へのお土産買っていいですか？」
ジェ「えぇ、フロイドも喜びます」
チリンチリン、と小さなベル音と共にお店の中に入った。
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作者名：華ヶ崎レオ
| 作成日時：2023年5月17日 20時
