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第29話 ページ30

貴「…はぁ…」


私は自販機の前でため息を吐いた。


風呂から上がった私は、着替えてすぐこの自販機に来た。


とりあえず、何か飲んで座ろう。


私は紙パックの苺みるくを買い、ソファーに座った。


そして、そのまま天井を仰ぎ見た。


…双子、兄、似ている、再会…


頭の中のインターネットに何度検索をかけても、解答は出なかった。


その時

額にヒンヤリとした物が当たった。


貴「え?」

中「風邪引くよ?」


敦君が同じ物を持って微笑んでいた。


貴「敦君…」

中「さっきはごめんね。
怪我しなかった?」

貴「うん」


席を立った瞬間、ヒラヒラと敦君の足元に写真が落ちた。


中「ん?」

貴「!!」


敦君はそれを拾って見つめた。


中「…これ…は…」

貴「………」


何分か、いや正確には何秒なのかもしれない沈黙が続いた。


沈黙を破ったのは


中「…知ってる…」


敦君の消えそうな呟きだった。


中「僕、これ知ってる…」


敦君の写真を持つ手が震えている。

私はあえて何も言わなかった。


中「これ、僕だよね。
それでこの女の子は…」




貴・中「「私…/Aだ…」」



鼻がツンとして、目に涙が溜まった。



中「…思い出した…」

貴「あ、はは…」


私は泣きながら笑った。


中「何で言ってくれなかったの?」

貴「私も忘れてた。
でも、思い出して、この事を敦君に言ったら混乱するだろうと思って。」

中「…確かに混乱してる。」


敦君は笑った。


貴「笑った顔、そっくり…」

中「泣いてる顔もそっくりだよ。」

貴「莫迦…」


なんか、凄く、凄く、ジンワリする。


貴「敦君がお兄ちゃんなんだ。」

中「自分でも信じられないよ。」

貴「私も信じられない。」

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華ヶ崎レオ(プロフ) - みぃさん» ありがとうございます! (2016年5月19日 7時) (レス) id: d996b1af9d (このIDを非表示/違反報告)
みぃ - 凄い面白かったです! (2016年5月19日 6時) (レス) id: e0c1ae9d92 (このIDを非表示/違反報告)
あにもー(プロフ) - 華ヶ崎レオさん» (*´∇`) (2016年5月11日 7時) (レス) id: a66a974f2e (このIDを非表示/違反報告)
華ヶ崎レオ(プロフ) - あにもーさん» (*´-`*) (2016年5月10日 22時) (レス) id: d996b1af9d (このIDを非表示/違反報告)
あにもー(プロフ) - 華ヶ崎レオさん» はい!全部私の好みです! (2016年5月10日 22時) (レス) id: a66a974f2e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:華ヶ崎レオ | 作成日時:2016年4月30日 17時

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