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第10話 プライド ページ10

グリ「ふ、ふな〜〜〜〜!!!!」


呆然と立ち尽くす私と、ニンマリ笑う長身の悪。

さっきまで気持ちがいいと思っていた夜風は冷たく血の気が引いた。


フロ「やっぱ女じゃん」


ークロ「いいですか、性別を変えているということはなるべく周りに話してはいけませんよ。
女性が紛れているというだけで、色々めんどうなので」ー


頭の中でクロウリー先生の言葉が再生された瞬間、私は彼に背を向けて走った


グリ「A!」

貴「うぅ」


溢れる涙を必死に拭い、人をなるべく避けるように寮に戻った。

空き部屋にとじこもり、鍵をかけてワーワー泣いた。


貴「なんで、なんでどうしてぇぇ」


居場所がなくなってしまうかもしれない不安と、自分の不甲斐なさ、今まで経験したことの無いショッキングな出来事で涙が止まらない。






グリ「A〜…」


ドアをカリカリと引っ掻く音が聞こえる。

私はドアを開けてグリちゃんを抱き抱えた。


貴「ごめん、ごめんねグリちゃん…
パニックになっちゃって…」


その場で座り込み、はぁ…と大きく息を吐いた。


グリ「別に慰めに来たわけじゃ…って言いたいとこだけど…大丈夫か?」

貴「…うん、グリちゃん撫でたから」


ずず、と鼻水をすすってまた息を吐いた。


貴「私もね、グリちゃんと同じグレーの毛の猫を飼ってたの。
コロンって言うんだけど、その子も私が辛い時そばにいてくれたんだ」

グリ「…そうなのか」

貴「コロンに会いたいよ。
パパやママにも…」


どうやってここに来たのか、どうやって戻るのか全く分からない状態で頑張ってきた。

パパやママにも会いたくなっても我慢して、自分の無力さにやられることなく食らいついた。


貴「パパ…ママ…」


乙咲グループの顔となる人間に産まれたからには弱い面は見せたくない。

そう決めていた。

だからこそこの異国の地でも歩いていけた。

でも、ほんとにこんなこと初めてというか、ショックというか


プライドを踏みにじられたようだ。


貴「…かえり、たい」

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作者名:華ヶ崎レオ | 作成日時:2023年3月10日 22時

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