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第17話 勘違いスカウト ページ17

今日一日、とりあえずフロイドさんに会わないよう頑張った。


会ってしまったらきっと平常心では居られなくなりますし、わかりやすい対応になってしまうのが目に見えておりますわ。


でも、初恋…なんですのよね…


様々な小説を読んできたから知識として知ってはいたが、気持ちを表す言葉がなくなってしまうほどだったとは思わなかった。

本当になんて言えばいいのか分からない気持ちですわ。


貴「それにしてもグリちゃん、遅いな」


忘れ物したんだゾー!!と1人教室に戻って行ったきり帰ってこない。

そろそろ帰りたいんですが…


するとその時


「あ、いました!!こちらです!!」

貴「え?」


突然私の目の前に学生が慌てた様子で立ち止まった。


「もう困りますよ…
だいぶ時間迫ってますよ」

貴「え?いや、あの」

「ささ、急いでください!」

貴「ちょっとー!?」


グイグイと背中を押され、どこかに連れていかれた。




貴「ここって」


モストロラウンジ?の裏?


「さぁ、もう時間ないのでこれに着替えてください!」

貴「いや、あの」

「期待してますよ」


バタンと扉が締められてしまった。

ここまで行くともう話通じないな、と言われるがまま着替えた。


貴「着替えましたけど」

「ではそのまま舞台に上がってください!」

貴「舞台?!」

「どうぞー!」

貴「ちょ、押さないでくださ…」


押し出されるように舞台に上がると、みんな食事しながらこちらに注目していた。


な、な、なに?!私何すればよろしくて!?


あたふたしていると、見慣れた物に手が当たった。


これは…ピアノだ…

よし…


チェアに腰掛け、ピアノの調律と自身の腕を確認した。


弾ける。


滑るように鍵盤を叩く指は、しばらく触ってなかったとは思えないほど調子がいい。


楽しい、楽しい楽しい楽しい!!

やっぱりピアノは最高ですわ!!


私は無我夢中でピアノを弾いた。

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作者名:華ヶ崎レオ | 作成日時:2023年3月10日 22時

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