第18話 ページ18
演奏が終わり、客席の拍手で我に返った。
やだ、私ったらつい我を忘れて…
ふとピアノから顔を逸らすと寮服姿のフロイドさんも拍手していた。
それを見てとてつもなく嬉しくなった。
「「大変申し訳ありませんでした！！」」
更衣室で私に頭を下げる先程の学生たち。
聞くところによると、今日モストロラウンジでピアノの演奏会をする予定だった方が来ておらずその人と私が間違われたそう。
普通間違えるかしら…
貴「もういいですよ。
むしろお礼を言わせてください」
ピアノの楽しさを改めて思い出させてくれたもの。
お礼しかないわ。
？「あなたが先程の演奏者ですね」
貴「ん？」
更衣室に入ってきたのはアズール先輩だった。
アズ「大変素晴らしい演奏でした。
思わず感心するほどにね」
「寮長、この方は…」
アズ「お話は既に聞いております。
まぁ、また後で詳しく聞きますが」
「はい…」
アズ「では持ち場にお戻りください」
どうぞ、と空いてる椅子を指し、そのまま座った。
アズ「改めて、僕はここの支配人のアズール･アーシェングロットと申します。
僕のことは既にご存知だと思いますので自己紹介は省きますね」
貴「乙咲Aです」
アズ「あ、あなたのことはもう調査済みなので大丈夫です」
貴「調査…」
アズ「それ以前に、あなたに関してうるさい者がおりますので知らずとも耳には入ってます」
フロイドさんのことだなぁ…
アズ「僕がわざわざ出向いたのは」
フロ「アズールだけずるーい！！
俺も小エビちゃんとお話する！！」
とてつもなくでかい音と共に入ってきたのは先程のフロイドさんだった。
アズールさんは大きな大きなため息を吐いた。
アズ「フロイド、君仕事中でしょう」
フロ「そんなの後ででいいじゃん。
てかさっきの小エビちゃん凄かったー！
もっかい聞かせて〜」
ジェ「こらこらフロイド、また勝手に…おやあなたは先程の」
アズ「君達一体何してるんですか」
ジェ「僕はただフロイドを連れ戻しに」
貴「あの、もう帰っていいですか」
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作者名：華ヶ崎レオ
| 作成日時：2023年3月10日 22時
