第13話 執着心の芽生え ページ13
そしてその日からというもの
朝
フロ「小エビちゃん、おはよお」
昼
フロ「あ、小エビちゃんお昼何食べんのー？」
夕方
フロ「小エビちゃんもう帰っちゃうの？
もうちょい俺といよ？ね？」
貴「う、うーん…」
グリ「お前、相当なやつに懐かれたみたいだな…」
毎日私を見かける度に笑顔で駆け寄ってくれるフロイドさんに少々頭を悩ませていた。
貴「お友達が増えたのは嬉しい事ですわ。
ただこうも、なんか、多いと…」
グリ「ストーカー？」
貴「みたいな…」
寮まで追いかけてこないのがまだ幸いだが、まぁ多いわ多いわ。
貴「それにフロイドさん、1年生のフロアにまで顔出しに来る時もあるし…」
グリ「ま、いんじゃねーか？」
貴「まぁ迷惑はしてないけど、ご本人無理されてないかしら」
グリ「本人が好き好んでやってんだから別にほっときゃいいとオレ様は思うんだゾ」
貴「あら、グリちゃんはストーカー行為を肯定されるのね」
グリ「そうは言ってないんだゾ！」
ふっ、とちょっと笑って勉強のペンを置いた。
グリ「なんだ？案外満更でもなさそうじゃねーか」
貴「そうね…
この世界に来てから楽しいことばかりで」
ここに来る前の記憶が戻り始めた今、私は正直ここに残りたいと思い始めていた。
パパやママに無性に会いたくなる気持ちはまだあるが、友人に恵まれたこの環境を受け入れてしまった。
貴「前の世界も良かったけれど、ここの方が私の欲しいものが揃ってるの。
本当に本当に、心から笑えるのはみんなのおかげ」
でも何故だろう。
ここに来る直前の記憶だけはまだ戻らない。
私はどうやってここにやってきたのか…
そこだけがぽっかり消えている。
貴「でもそんなこと、もうどうでもいい。
夢で片付けるには惜しい夢ですわ」
本当に。
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作者名：華ヶ崎レオ
| 作成日時：2023年3月10日 22時
