第29話 ページ29
彼らはどうしてそこまで私のために頑張れるのか。
傷を負い、膝を付いても立ち上がる。
疲労で視界が掠れても手を伸ばす。
どうして…
私は、ただの人間なのに。
貴「…」
このままじゃ彼らは倒れてしまう。
それは絶対に嫌だ。
私は素行軍の刀を掴んだ。
貴「…もう、私の刀剣男士を傷付けないで」
なんとかして折ろうと腕を動かす。
隙間からぽたぽたと血が滴り落ちるが、不思議と痛みはない。
刀は一点の力に弱いと聞いた。
可能な限り勢いよく足をあげ、膝で敵の刀を折った。
綺麗にポキンと折れたそれを敵の脇腹に刺し、力が緩んだ隙に腕から逃れた。
豊「主!こっちちゃ!」
そして、広げられた豊前くんの腕の中に飛び込んだ。
豊「よし!」
その笑顔に私は安堵の涙を流し、抱き締める強さを強めた。
桑「豊前!主連れて撤退して!
怪我しとるから!」
豊「お前らはどーすんだよ!」
松「応援要請は送ってある。
それまで耐えることくらいできるよ」
貴「桑くん、松井くん…」
彼らは優しく微笑み、
桑「大丈夫、絶対折れずに帰るから」
松「帰ったら怪我見せてね、絶対、いい?」
と、走っていった。
豊「行くぞ!」
豊前くんは私を抱えて彼らと反対に走った。
35人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:華ヶ崎レオ | 作成日時:2023年12月8日 5時