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第24話 ページ24

豊「篭手切、寝んぞ」

篭手「あと少し…」


黙々と机に向かっていた篭手切に声をかけた。

主から許可が降りたため台本を清書してるらしい。


豊「今日は出陣もしたし、疲れてんだから早く寝ろっちゃ」

篭手「はい…
でもあと少しなんです」


俺は篭手切の隣に座り、手元をじっと見つめた。


豊「なぁ、俺…松井に譲るよ」

篭手「え?」

豊「結末…」


コトン、と篭手切が筆を置いた。


篭手「…りいだあの心境に何があったかは聞きません。
無理も言いたくないです」


篭手切は、それはそれは真っ直ぐな目で俺に訴えた。


篭手「でも私は、この目で見たいんです。
今まで心から欲しいと願っていたものを手に取る瞬間を。
その瞬間のりいだあの顔が見たいんです」

豊「でも、俺は」

篭手「松井さんには悪いですが、りいだあの役と主の役は接点が多いです。
それは役柄上の問題とかではなく私個人の思いもあります。
主には、りいだあの手を握って欲しい」

松「ふふっ」


振り返ると口元を押さえて笑う松井が立っていた。


松「ごめんね、盗み聞きするつもりは無かったんだけど」


松井も俺の横に座って口を開いた。


松「正直僕も篭手切と同じ意見なんだ。
変な争いを仕掛けたけど、僕は選ばれる為じゃなくて豊前のためを思っての行動だったから。
昔から言うでしょ、恋敵がいた方が盛り上がるって」


恋敵…


豊「でも、お前だって主が」

松「…認めるんだね」


ハッと口走ったのを自覚し口をおおった。


松「主が好きだってこと」

豊「ちが、これは」

松「僕も主が好きだよ。
でも豊前ほどじゃないし、なんなら諦めもついてる」


松井は自分の布団に潜り込み手をハラハラと振った。


松「楽しみにしてるよ」

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作者名:華ヶ崎レオ | 作成日時:2023年12月8日 5時

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