第22話 ページ22
自分の部屋で冷めてしまったおにぎりをもそもそと食べた。
桑くんの五目ごはん、すごく美味しいのに胸のつっかえが取れない。
豊前くんは何を伝えたかったんだろう。
どうしてあの笑顔に不安感を覚えたんだろう。
松「主、開けても?」
貴「松井くん?いいよ」
出陣帰りの松井くんが戸を開けて帰ってきた。
松「戦の報告をしに来たよ」
貴「お疲れ様」
戦績書を受け取り、目を通した。
貴「松井くん誉沢山とってきたんだね。
偉い偉い」
松「重傷者は居ないけど、篭手切が少し傷付いてしまった…」
貴「そっかそっか。
みんな頑張ってくれたんだね、ありがとう」
松井くんの頭を撫でると照れたように笑ってくれた。
松「あ、ねぇ主、篭手切から仮の台本は貰った?」
貴「うん、すごくいいと思うんだけど結末が書いてなくて」
松「そうだよ。
だって結末は主が選ぶんだから」
貴「私?」
松「そう。
僕と豊前は役柄的に恋敵なんだ。
主が選択した方で結末がかわる」
貴「えっ、確かに内容的にはそんな感じだったけど…
そんな…」
松「大丈夫、仮の台本だから書いてないだけで完成させたやつは2通り書くって言ってたよ」
篭手切に伝えておくね、と松井くんは部屋を出ていった。
そんな役得、私が得ていいのだろうか…
35人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:華ヶ崎レオ | 作成日時:2023年12月8日 5時