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第17話 ページ17

ー豊前sideー


松「…ねぇ豊前、主は?」

豊「んー?見てねぇよ」


外で洗濯物を干していると松井が話しかけてきた。


松「僕出陣だから呼んできてくれる?
桑名も畑行っちゃったし、篭手切も出陣だからさ」

豊「おうよ」


洗濯籠を縁側に置き、駆け足で主の部屋に向かった。

そこには五虎退と乱も集まっていた。


豊「どーしたんだ?」

五「あ、豊前さん…あの…僕達そろそろ出陣なんですけど…主様のお返事がなくて…」

豊「返事がない?」


うちの本丸では主の許可無く部屋に入ることは禁止されている。

必ず返答がある時のみ戸を開けるのが許可されているが…


豊「主、起きてっか?主ー?」


確かに返答がない。

まさか、倒れて…


乱「あ、開けちゃうの?」

豊「緊急を要するから仕方ねぇよ…!」


バッ!と戸を開けると主は仰向けに倒れていた。


豊「主!」

乱「そんな!主さん!」

五「どどどど、どーしましょう!」


口元に耳を持っていくと、きちんと呼吸は出来ている。

脈もしっかりしている。


豊「なんだ、寝てるだけか…」

乱「寝て…る?」

五「よかったぁ…」


へにゃへにゃと腰を抜かす五虎退。

正直俺も焦ったのでホッと胸をなでおろした。


にしても、これだけ騒いでも寝てられるのか。


豊「乱、五虎退、悪いが今日はそのまま出陣してくれ。
主はしばらく起きねぇから指揮は長谷部に頼む」

乱「わかった。
行こう五虎退」

五「ふぁい…」

豊「頑張れよ!」


2人を送り出し、戸を閉めた。

机の上は酷いくらい散らかっており、空き缶が下に転がっている。

電源の入ったままの機械や本、のーとを見る限り相当追い込んでたんだろう。


起こすのも、悪いけねぇ…


近くにあったひざ掛けを主に掛けた。


豊「頑張ってたんだな」


髪の毛に触れると、サラサラと指を流れるように落ちた。


俺達と違って主の髪は細くて柔らかい。


豊「…」


頬も、首筋も、腕も、腹も、全部柔らかい…


思わずゴクリと唾を飲み込んだ。


豊「ごめん、主」


魔が差した。


俺は主の首筋に、触れるだけの、ほんとに触れるだけのキスをしてしまった。

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作者名:華ヶ崎レオ | 作成日時:2023年12月8日 5時

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