339話 知られたくない過去 ページ39
そのまま歩いて鏡舎を抜けやっと止まったAさん
ﾃﾞｭ-ｽ｢いいんですか置いてきて。｣
貴｢いいのよ別に。過去のことをこれ以上話すつもりもないし。｣
……一体彼女の過去に何があったんだろう……。
確かに知られたくない過去は誰にでもある
でもAさんはそれを1人で背負って、苦しんでいるような気がした。
ﾃﾞｭ-ｽ｢俺もその気持ち、すごく分かります。
だけど、それを話して救われることもあるんですよ。｣
貴｢……私は…そんな救い…求めてない……
だって……過去を知れば…デュース、貴方だって離れていくに決まってる……。
またみんな居なくなっちゃう……ひとりぼっちは……もういやなの……
お願いだから…行かないで…デュース…。｣
弱々しく呟くAさんにぎゅっと制服の裾を掴まれる
あんなに強くて優しいAさん。
本当は、強がっていただけなんだ。
優しいから心はずっと脆くて、か弱いんだ。
そんなAさんを安心させるように優しく抱きしめたり
ﾃﾞｭ-ｽ｢行きませんよ。どこにも。
大丈夫。大丈夫ですから。
貴方が言いたくないなら無理には聞きません。
そばにいます。それでAさんが救われるのなら。｣
腕の中で震えるAさん。
そんな、貴方を見て、
この人を心から守りたい。そう思った。
でも、このままあの3人との件を放っておけない。
貴方の力になりたいんです。
ﾃﾞｭ-ｽ｢先輩、あの人たちも貴方の事が大切なんです。
価値がないなんて言わないでください。
先輩達は、誰よりも貴方の事を必要としている｣
貴「え…」
顔を上げた先輩の見開かれた綺麗な瞳から涙が零れ落ちる
ﾃﾞｭ-ｽ｢壊すのも失うのも簡単です。
だけど、壊れてしまったものを治すのには時間がかかる。
それもそのヒビが大きければ大きいほど…。
何が原因で喧嘩したのか分かりませんが、
ちゃんと話し合って、仲直りした方がいいです。
1人じゃ心細いなら僕がそばにいて支えますから。
あなたは、1人じゃないんです。｣
貴｢うん……ありがとう…デュース…｣
そう微笑むAさんは偽りない心からの笑顔だった
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作者名：ヒスイ | 作成日時：2021年9月4日 1時
