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長谷川くんのマンションから、わたしのマンションまでの道のり


完璧に覚えちゃった…


最寄駅は隣の隣、だけど広い通りを歩けば案外すぐ近くで


電車なくても通えちゃう…って何言ってんだ、通えちゃうじゃないよわたし…









「なんであんなに私に関わってくるんだろ…?」








壱馬くんは、雑誌とか番宣の撮影の場が同じになること多かったし


北人くんは共演したし


だからあの2人は私にグイグイきたから仕方なくこうなったんだけど…


長谷川くん、一度も共演したことない。


本当に、初めて会ったのはあの日なんだよ


たしかに私がだいぶもう記憶飛ばすくらいに


隣に座ってきた男の人


たしかに言われてみれば、あの香水の香り


あの黒のフープピアス


長谷川くん…だよね


私が酔いに酔って、ほぼ意識ないまま閉店で


長谷川くんがたしか、お姫様抱っこしてどこかへ連れてかれたんだ、


気づいたら朝、あの状態だったんだけど


長谷川くんがきた時からもうすでに記憶なんてないし


何話したかも知らない。


けど、ぱっと目が開いた時、長谷川くんの腕の中で


あ、お姫様抱っこされてる、って思って


けどまたそのまま心地良くて目が閉じたんだよ








今思うと相当迷惑かけてる


それじゃあ身体で代償って意味であの二回は妥当なのかもしれない


そう思い始めるととことん私は価値のない女だと思う


惨めだ



















気づいたら家にいて


長谷川くんのおうちよりは狭いけど


やっぱりこの広い空間に1人は


今の私には相当辛い


あんな怖い思いをしたのに誰1人と私の味方にならない


みんなして私を見捨てていった


そんな1人孤独の世界に取り残された私が


すぐさま立ち直って再出発できるわけがないのに。


大好きだったマネージャーとも離れさせられ


移籍した事務所だって相当ブラックだ









「本当に最近いろいろありすぎなの、だめ、耐えられない追いつかない」









こんな呟きだって消えていく


涙が出そうになるたび


何故か頭に浮かぶのは


ちょっと困った顔をしたり


すぐ笑ってからかったり


いつでもどこでも現れる


長谷川くん







たいして深く関わってないはずなのに


日も浅いはずなのに


何故かだいぶ秘密を知られてる


だからなのかな、本当になんか


安心感がある









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作者名:サトウプリン | 作成日時:2020年7月1日 0時

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