７．枯れた花束 ページ7
些細な喧嘩のあと行ってらっしゃいも言わなかった。
それが永遠の別れになった。
僕の時間はあの日から止まったままだ。
実感のない日々、閉ざされた光、押し潰されそうな雲。現実とは裏切るもので、この果てしなく広がる空に何を思うのか。
彼女と過ごした日々はたったの1年ほどだったけれど、僕の心に鮮明に焼き付いた。
満開のラベンダー畑、太陽が反射する広い海、一緒に行った花火大会の喧騒、凍える夜に手を繋いだイルミネーション。
思い返せばどれもこれも日常だった。
でも一生忘れられないと思った。
一生忘れないと思った。
一生忘れてはいけないと思った。
彼女は僕にとって永遠に特別、そうでなければいけないんだと思った。
季節が巡ってもどれだけの日々が過ぎようとも、髪も服もあの日のままで彼女の姿はあの頃のまま何も変わりはしなかった。ただ日を追うごとに彼女の影は薄くなっていった。
友達と会って笑い合っている瞬間に、
「あ、今あいつのこと忘れてたな、また一人にしちゃった」
って思うときがある。
瑠姫くん、明日マリカーの日だけどうちの場所わかります?
汐恩と行くから平気だよ
あ!そっか!
気をつけてきてくださいね!
汐恩も愛用しているへんてこなうさぎのスタンプ。
出会ったばかりのはずなのに、僕はだいぶAちゃんのことに詳しくなった。
好きな食べ物はお肉、すぐ怒る人が苦手、お酒は好きだけど弱いらしい、フリーター生活に危機感を感じていること、最近就活のために黒髪にしたこと。
でもAちゃんは僕のことを聞くことはなかったし、必要以上に踏み込んできたりしない。
単に興味がないのか、こんな職業の僕たちのことを気遣ってくれているのかわかんないけど。ちゃんと距離感を守って接してくれる気遣いが心地よく感じた。
家を出る5分前にセットしたアラームが鳴る。
もうこんな時間か。
仕事に出る前に溜まったごみを急いで集める。
実家を出てから地域によってごみの回収日が違うことを知った。
燃えるごみは月曜日と木曜日、不燃ごみは水曜日。
じゃあ思い出は何曜日に捨てたらいいんだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 568人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「JO1」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふふ(プロフ) - りんさん» りんさんはじめまして！コメントありがとうございます☻地獄みたいな話書きます！気長にお待ちください❤︎（笑） (2021年11月20日 0時) (
レス) @page44 id: e6fec39ceb (このIDを非表示/違反報告)
りん - はじめまして！作品とっても面白かったのでコメントしました。次回大学生の地獄みたいな作品希望です（笑） (2021年11月18日 23時) (レス) @page44 id: 1f8c0c6745 (このIDを非表示/違反報告)
ふふ(プロフ) - みぺさん» みぺさんありがとうございます☻たくさん私のお話読んでくれているようで嬉しいです！😭 (2021年11月18日 21時) (レス) id: e6fec39ceb (このIDを非表示/違反報告)
ふふ(プロフ) - ぺいんさん» ぺいんさんありがとうございます☻分かってくれる人がいた！と思って嬉しかったです〜！Funny bunnyはほんとに名曲ですよね…！ (2021年11月18日 21時) (レス) id: e6fec39ceb (このIDを非表示/違反報告)
ふふ(プロフ) - 萌萌さん» 萌萌さん☻いつもありがとうございます！期待に応えられたでしょうか…また頑張って書きますのでこれからもぜひよろしくお願いします！ (2021年11月18日 21時) (レス) id: e6fec39ceb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふふ | 作成日時：2021年7月15日 14時
