照らすために息をしている (ページ40)

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39．きみの星を未だに見つめているページ40

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話したいことがありすぎて、胸が詰まってしまい何一つ取り出せない。

黙ったまま歩きを進める俺にAは何も言わない。

隣を歩くAが懐かしくて時が戻ったかのように不思議で、でも居心地が悪そうに俯いて歩く姿が苦しい。

「…俺Aに謝らないといけないなと思ってて」

「今更謝られることなんてないよ」

「でも会って話がしたかった」

「私は、会いたくなかったけど」

ぶっきらぼうな返答に苦笑いを返すことしか出来ない。

何の準備もしないまま話したいと言ったことを薄っすらと後悔するけど、多分今じゃなきゃもう二度と会えなかったから、少しだけ飲んだお酒の力に任せて言いたかった言葉を少しずつ取り出す。

「俺さ別れてから何度も後悔したよ」

「そうなんだ」

「…俺、まだ好きだよ」

「別れたいって言ったのは瑠姫だよ」

「それは…ごめん、でも」

「今更そんなこと言われても困る」

「ごめん、でもA」

「瑠姫が今更どうしたいのかわかんないけど、昔の話で、もう過去のことだよ。とっくに終わってるし、

…終わらせたのは瑠姫のほうでしょ」

終わってるとAが発した言葉に胸がギリギリと痛む。

でもAの言った言葉は何も間違ってなくて、

何もかもがAの言う通りで、俺は何もかも遅かったんだ。

気付いたら駅に辿り着いてしまい、離れようするAの手首を思わず掴むと、一瞬びっくりした顔をした後不快そうに顔を歪める。

甘い花の香りが鼻を掠めたのと、明るい大きな声がAを呼んだのは同時だった。

「A、」

『Aちゃん！』

「純喜くん」

『えっと？』

「じゃあさよなら」

掴んだ手を振り落として俺じゃない男の腕をとり、有無を言わさずに立ち去るAの後ろ姿を見えなくなるまで眺めていた。

どうか振り返ってくれないかと願ってみてもそれがAに届くことはない。

当たり前だ。だって俺が終わらせたんだから。

Aのことしか見ていなかったけど
二人並ぶ姿を思い出すとあまりにもしっくりきていて、もう何も考えたくなくて足早にその場から立ち去る。

大切なものは失ってから気づくというけど、やっぱりそうなんだな。

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