照らすために息をしている (ページ13)

今日:25 hit、昨日:90 hit、合計:168,109 hit

13．盲目では足りなくてページ13

.

この前、一人で出かけた時にAちゃんを見かけた。

隣に並ぶ派手な髪色。
いつかインスタで見たAちゃんの彼氏。もう元か。
美容学生だって言ってたな。

なんで会ってるのか、偶然会ったのかわからんけど、当たり前のように寄り添う2人の姿に落ち込む。

Aちゃんが泣いたあの日、私が何を言っても変わらないと言った。

もしかしたらAちゃんはまだ元彼のことが好きなのかもしれない。
俺のこの気持ちはAちゃんにとって重荷なのかもしれない。

ずっと無理して笑っていてくれてたのかもしれない。

そう思うといつも通りが出来ない。うまく言葉が紡げない。

▽

「今日、昼何にする？」

「私はインドカレーの気分」

「カレー？俺はラーメン！」

「純喜くんはなにがいい？」

答えない俺にAちゃんが不思議そうに俺の顔を覗き込む。

ヘーゼルナッツのような琥珀色の瞳。いつもくるんと上がったまつ毛。

「ん？あ、何でもええよ」

「なんか元気ない？」

「そんなことないで！」

誤魔化そうと思って、思ったよりも大きな声が出てしまった。

純喜くんうるさいよ！と景瑚が怒る。

純喜くんが何でもいいならカレーだねとAちゃんが言うと、
いつもAの希望しか通らないじゃん！と不満げな顔をした。

間をとって、カレー坦々麺のお店に来た。

最近できたらしいお店。

ピンク色の像の置物、カラフルなテーブル。
異国みたいな店内がおしゃれだ。

Aちゃんは着ていた白い服に、
麺を啜ってカレーを飛ばしてしまい、シミを作っていた。

絶望的な顔をしたその様子を景瑚が心底嬉しそうな顔をして、ストーリーを撮っていた。

そんな二人の姿を見てるとずっとこのままでもいいかもしれないとも思った。

.