照らすために息をしている (ページ33)

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32．マーマレードジャムに溶かす日曜日ページ33

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材料を準備している間、早速ゲームを始めようとする純喜くんと木全くんに対して

鶴房くんは何度も「ずっと手伝うことないですか」と私を気にかけてくれた。

折角だしちょっと手伝ってもらおうと思って作業を任せたらあまりに危なげな手つきだったので、

気持ちだけ有り難く頂戴してあっちの騒がしいほうに合流にして貰った。

全て切り終わったところで丁度ゲームに負けた純喜くんが生地を混ぜてくれたけど、勢いが良すぎて床にぼろぼろと零していた。

こういうちょっと雑なところ男の子っぽくて可愛いなと思う。

木「…それ何の形？」
河「どう見てもハートやろ」
鶴「ないわ～」
「でもかわいいよ」
河「Aちゃん…！ええ感じやんね」

「ひっくりかえせる？」
木「純喜くん絶対下手ですよ」
鶴「純喜くんは出来ひんやろ」

河「お前ら、見とけよ！」

自信満々にそう言ったくせに、ハートは真ん中らへんで折れてしまった。

ああーー！と私よりも大きな声を出した純喜くんに
木全くんと鶴房くんは口を揃えて嬉しそうに、やっぱり！！と言った。

唇を尖らせていじけた空気を出すから

「純喜くんが焼いてくれたから美味しいね」というと、
「Aちゃんの生地が上手なんやで」と照れて目を細めて嬉しそうな顔をした。

唇に青のりがついている。可愛い。

それにしてもお好み焼きでこんなにも一喜一憂出来るなんて本当にすごいな。

木「楽しかったです。また誘ってください、純喜くんに内緒で」
鶴「次は三人でも」
河「もう二度と誘わんからな！！」

鶴「初対面やのにありがとうございました」
「木全くん、鶴房くんまたね～」
木「Aさん、じゃあまた！」
鶴「じゃあ」

河「おい！俺にも挨拶せえや！」

二人が帰っていく姿を見送り、部屋に戻る。

「楽しかったね」
「せやね、汐恩もいいやつやろ？」
「うん、面白い子だね、木全くんの友達って感じした」
「ははは、どんな感じやねん」

コンティニューのままの画面、食べたまま放置されたお皿と箸、匂いの残った部屋。

散らかったままの状態を見て思わず黙る。

4人分っていうのは、普段の倍だからなのか膨大な量に感じる。

一旦座ろうかな…

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