照らすために息をしている (ページ21)

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20．今夜だけは無罪ページ21

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「もしもし、Aちゃんー」
「もしもし」
「Aちゃ〜〜〜〜〜〜ん」
「純喜くん？酔ってる？」
「酔ってへん」
「酔ってるじゃん、今どこ？」
「Aちゃんの最寄り」

買い物をしてご飯を食べて景瑚と別れたあとかかってきた電話。

最寄りに着くと駅前のコンビニの植え込みに
座り込んでいる純喜くんがいた。

白いTシャツを着た純喜くんは
爽やかという言葉の具現化かと思うほどだ。

電話で酔ってないよと言ったのにベロベロじゃん。今日は何の飲み会だったんだろう。まだ22時だけどどんだけ飲んだんだ。

声をかけると顔を上げてわたしを視界に捉え、ふにゃと笑った。

純喜くんは酔っ払っても顔色はあまり変わらないけど、表情がゆるゆるになる。

「知らない人とたくさん話したらAちゃんに会いたいな〜思うて気づいたらここにおった」
「純喜くんの家、私の家より前の駅だよ」
「え～？なんでやろなあ」
「わたしたちケンカしてたんじゃなかった？」
「ケンカなんてしてへんって」

するりと私の腕を撫でて手を掴み、まっすぐに私を見つめる。

恥ずかしくなるほど目の前にいる純喜くんからは好きという気持ちが溢れているように感じる。

怒っていたのが馬鹿らしくなるほどやさしい瞳に私を映す。

その瞳に映すのは私だけであってほしい。

「とりあえず帰ろうよ」
「立たせてー」

腕を引いてもびくともしない。

立つ気ないよね？！と言うと、首をかしげて楽しそうに笑う。

グッと繋いだ手を引っ張られ抱きしめられる。

アルコールとせっけんの香り。

「みんな見てるよ」
「Aちゃん、どこにも行かんでね」

急に耳元でかすれた声で囁かれると
びっくりして心拍数が上がる。

これだから酔っ払いは困る。

「どっか行くのは純喜くんでしょ」
「行かへんって」
「じゃあキャンプも行かない？」
「行くけど」
「行くじゃん」

とぼけたヘラヘラと笑う顔が好き。
ずっと笑っていてほしいなーなんていつも思っていること。

Aちゃん大好きやでと酔っぱらった顔で言われると全部許してしまう。

好きだからどうしようもない。

もー、本当に可愛いなこの人は。

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