54 ページ4
こんなにしっかり城下町を見晴らしたのは初めてかもしれない。
城の門を越えてから澄んだ空気が肺に吸い込まれ、頭の中が爽快に涼しくなった。今まで自室の窓から覗いていた景色が実物となり、私は無意識に興奮していた。
「きれい……！」
仮面を付けたオスマンさんも、嬉しそうに深呼吸をした。
「とりあえず広場まで降りよか」
鮮やかな家の屋根や地面の石レンガを進むごとに、母国とは丸っきり違う国の豊かさに吸い込まれていった。
降りていくとどんどん人が増えていき「オスマン様ー！」と女性方や男性方の嬉しそうな声が聞こえてくる。
気づけば私の右手がはぐれないように繋がれており、オスマンさんは声を掛ける国民の方々に手を振って反応していた。
「ここ曲がったら広場めう」
いい香りのする花壇の道を曲がると、噴水のある賑やかな広場に到着した。
広場には沢山の子供たちと数人の大人方がいて、子供たちはオスマンさんと私に気付くと走ってきてくれた。
「オスマンさま！お姫さま！おはようございます！」
「おはようめう〜」
「お、おはようございます」
この子たちが私のことを知ってくれていたことに私は驚き、すごく嬉しくなった。頬が自然に緩んで笑顔になると、子供たちも純粋な可愛らしい笑顔を見せてくれた。
「お姫さまはお花好き？」
「え、はい、好きですよ」
「はいこれ！」
するととある子がいきなり黄色くて小さなお花をプレゼントしてくれた。他の子が「これはね、“あぶらな”って言うんだよ！」と紹介を挟んでくれる。
「アブラナ？」
「我々国みたいなあったかいところに咲くんだよ！」
子供たちのキラキラした笑顔もまたこのアブラナのように綺麗で、可愛らしくて、私も笑顔でお礼を言った。
噴水の傍で子供たちのお母さん？が幸せそうにお辞儀をするものだから、私も笑って礼をしておく。
オスマンさんが「それじゃあ、」と次の場所へ薦めてくださったので、子供たちにさよならを言うことにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 622人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しまたけ(プロフ) - すみれいんさん» そうですね…ぱっとインスピレーションが湧いたときに沢山更新したいなと思います。本当にありがとうございますorz (2019年7月27日 13時) (
レス) id: 7881ae9fa9 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - しまたけさん» 更新しなきゃと思ったら嫌になってしまうかもしれないので、出来た時に更新したんで大丈夫です！待ちます！ワクワクして待ちます！！自分の時間を優先で体調も優先で頑張って下さい！ (2019年7月26日 20時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
しまたけ(プロフ) - すみれいんさん» あっありがとうございますm(__)m本当に更新遅くなりますが出来るだけ時間を見つけて更新しようと思います。コメントめちゃめちゃ嬉しいです…消さないです…！ありがとうございます！ (2019年7月26日 20時) (レス) id: 7881ae9fa9 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - お話読みました！好きです！飽きても消さないで下さい！！お願いします！！好きなんです！！ (2019年7月26日 16時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
H2O(プロフ) - もし宜しければどちらも残していただけると嬉しいです！この作品含め、全て好きです。 (2019年4月3日 3時) (レス) id: e433076a9e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しまたけ | 作成日時：2019年3月23日 15時
