19 ページ19
まだ夕方だというのに、まるで深夜のように暗くなってきた。木々のざわめきに爽やかさは微塵も無く、山自体が何かを喋っているようだ。
その原因はカラスだったり、風だったり、はたまた妖怪だったりする。
「………おい、九尾だ」
「またあいつか…なんだったか、グ…なんとかだ」
その山はグルッペン達の所持する山ではなかった。グルッペン達がいる山の、隣の、またいくつか隣の場所にある。この山は妖怪達が多く住まっており、その分空気も悪かった。
「早く奥に戻ろう…あいつだけだ、すぐに帰るさ」
「すまないが、今日は連れが居る」
グルッペンが呟いた瞬間に、遠く離れて身を潜めていた妖怪達は体を失っていった。体に宿る魂が震え、浄化されていく。
「………めっちゃ空気汚れてますね…元には戻らないんじゃないっすか？」
「さあな。オスマンが何とかしてくれるだろうが……………いや、戻る」
「自信家ですねえ」
和装だが顔立ちも姿も人間。色素の薄い髪。敬語がギリギリ混じったような口調を使うショッピは、グルッペンの傍に生える木へ着地した。
「うっじゃうじゃ居ますね」
「ああ。今日は偵察だがな」
視認できずとも気で分かるのだ。奥に進むほど妖気が集中している。空気が汚染されるくらいに妖怪達が集まりすぎていた。
「……ところで、誰にも言わず俺に着いてきて良かったのか？」
元々、この山に向かうのはグルッペンのみだった。が、何がきっかけなのか、昼頃にショッピが「俺も行きたいです」と言い出したのだ。
グルッペンとショッピが二人でいる組み合わせは滅多にない。いつもならコネシマかゾムとよく居るのだ。
「大丈夫だと思いますよ。コネシマさんバカなんで気付かない可能性もありますから。あの人バカなんで」
「バカなぁ…」
ショッピは耳を澄ませる。木の上からだと普通に立つより聞こえにくいが、ショッピの耳は微かな音までも聞き取ることができた。
「…この辺りは居ませんね。皆逃げちゃったみたいっす」
グルッペンは山の奥をじっと見る。いつまでも続く獣道。どこもかしこも黒煙や妖気がちらつく。グルッペンはこれ以上の散策を取り止めた。
「流石、強いな」
「貴方に言われるのは光栄っすね。まだまだなんですけど」
ショッピ。妖怪達の総大将と言われてきた妖怪。即ち、ぬらりひょんという名だ。様々な言い伝えがある古くから存在していた妖怪である。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 227人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しまたけ(プロフ) - ワラビモチクイタイさん» 頑張ります…( ´_ゝ`) (2018年9月13日 7時) (
レス) id: 7881ae9fa9 (このIDを非表示/違反報告)
ワラビモチクイタイ(プロフ) - しまたけさん» ３曲も………頑張ってくださいねwww (2018年9月12日 23時) (レス) id: 648e2202a9 (このIDを非表示/違反報告)
しまたけ(プロフ) - ワラビモチクイタイさん» はっ!!いつも見てます(゜〇゜;)あと3曲も今週中に覚えなきゃなんです…頑張りまする (2018年9月12日 22時) (レス) id: 7881ae9fa9 (このIDを非表示/違反報告)
ワラビモチクイタイ(プロフ) - U.S.A難しいですよねwww更新楽しみにしております。 (2018年9月12日 22時) (レス) id: 648e2202a9 (このIDを非表示/違反報告)
しまたけ(プロフ) - 柑橘さん» 短編のネタで浮かんでから「これだけで終わらすのは勿体ないな…」と思っていたので正解でした！やった！ ちょっと勉強しなきゃなので更新遅めですが、お付き合い宜しくお願いします！ありがとうございました！ (2018年9月11日 22時) (レス) id: 97e2b18ddc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しまたけ | 作成日時：2018年9月9日 22時
