19.記憶 ページ20
「もー飲んでないとやってらんない！」
咲「ちょっと美緒、飲みすぎだって〜」
やっぱり、ふらっと家には帰れなかった。
咲「いやーでもまさか、二宮さんとそんなことになってたとは...」
「だから！一方的だから！」
咲「いやいや！だとしてもさ〜？」
「というか、まだキスまでだから...」
咲「でも、今日帰ったら、続き、でしょ？？」
「それが嫌だから飲みに来たんでしょ！」
どんな顔して帰ればいいのか分かるはずもなく、
私は逃げてきた。
けど、、、
咲「嫌だから、じゃなくて、怖かったから、でしょ」
「どういうこと？」
咲「二宮さんにどんな反応されるか怖かっただけでしょ？本当は」
そうだ、怖かったんだ。
怖くて逃げたんだ。
家のドアを開けたら、
どんな光景が広がってるのか、
その光景に自分が対応できるのか、
不安で仕方なくて、逃げたんだ。
咲「でもまだ、何も分かってないじゃん」
「え？」
咲「二宮さんはそもそも酔った勢いで忘れてるかもしれないし、本当に美緒が好きなのかもしれない、それか、その場の"欲"に任せたのかもしれないし...」
「最後のが確実そうだけどね」
咲「でも、まだそうと決まったわけじゃ...」
「いいのー！今日は飲むの、忘れるの！」
咲「ちょっと美緒、いい加減にしときなって！」
そう、昨日の和みたいに、
我を忘れるくらい飲んで、
それで帰ればいい。
そうすれば逃げ切れる。
不安からも、恐怖からも。
きっと逃げてもいい、今日だけは。
そこから、
私の記憶はスーっと消えた。
消えて、
消えて、
目を覚ました。
家のベッドの上で。
「はぁ、よかったぁ」
あの後なんとか帰れたんだ、私。
咲に謝らないと。
でも...
何か違う。
そう何か。
布団の色と匂い。
それと枕の感触。
天井の照明も、形が違う。
ふと横を見ると、
二「起きた？」
「... 」
横に和がいた。
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作者名：しんみの | 作成日時：2018年1月3日 9時
