37:必然 ページ38
伊東歌詞太郎side
終わりを望む主人公がいたとして、どうやって終わらせるかを考え答えを出すなら、それは物語に出てくる人全てを殺せば良いと思う。
「な、んで…何でこんな事をするんですか!」
まふが怒る。
「むしろ何でまふはこんな事しないの?」
「え?」
まふに殺される事をAちゃんは願ってるのに。
Aちゃんを殺せるのはその血が流れてる人間だけなのに。
「おい、まふこれどういう事だ!」
そらるさんが来た。
赤い目をしたそらるさんとAちゃん。
Aちゃんは血が足りなくてそのうちまふあたりを襲うかな…
Aちゃんに刺した銀の針。
中が注射針みたいに空洞になっていて刺してる限り筒のようにそこから出血し続ける。
「歌詞太郎、お前何のつもりだよ」
針を抜きながらそらるさんが俺に問う。
「そらるさん、前世の記憶があるんですよね」
「…は?」
「俺も前世の記憶持ちなんで」
「何言ってんだ…」
「まふ、何でお前には前世の記憶がないと思う?いや無くても不思議に思わないか。」
本来はない筈だから。
でも俺達は違う。
そらるさんにあってまふにない理由がある。
俺が持ってるから。
まふはAちゃんを殺せる血を引いてる。
でもどういうワケか俺にはAちゃんが契約した人間の記憶がある。
だから尚更腹が立つ。
俺の記憶にある奴が約束したのに果たせない。
殺してあげたいのに殺せない。
殺せる筈のまふはAちゃんを殺してやらない。
Aちゃんは終わりを望んでるのに…
なら、全員が死ねば良い。
終わらせようと思った。
Aちゃんを殺した後はきっと空っぽだ。
生まれた理由も生き続ける意味もなくなる。
それなら一緒に終わればいい。
そう考えた。
「俺達が集まったのって奇跡でも偶然でもなくて必然だったんだ」
「っ、っ、…、」
Aちゃんが堪えるように口を抑える。
赤い目は相変わらず綺麗で好きだと思った。
「Aちゃん、俺の血を吸ってよ」
全部思い出したんだ。
前みたいにさ吸ってよ。
俺が教えた曲。
俺とAちゃんが会った時の曲。
今も弾いてくれているって思い出して凄く嬉しかった。
「俺が殺すよ、契約しようAちゃん」
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作成日時:2017年9月27日 14時