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俺は天竺のアジトへと連行された。

ソファへと座らせられ、待たされる。












視界の隅では、ココが驚愕した表情で此方を見ているのがわかった。












バンッ










扉が開かれる音。

息を呑む音が響いたかと思えば、靴の踵の音が徐々に近づいてくるのがわかった。













冷や汗が背中を伝う。

身体が震えようとしているのを、必死に押さえ込んだ。












「___A。」











フワッと、抱きしめられた。

嫌でも思い出す、大好きだったイザナの匂い。
声は…少し低くなったな。











甘やかな声が耳に響く。












「顔をよく見せろ。」
















イザナは床に膝をつき、俺の顔を覗き込む。


俺が大好きだった、紫の瞳。

あの頃の綺麗な瞳は、もう存在しない。












お前の瞳は、雲がかかったように濁ってしまった。












「___やっと捕まえた、" 花垣A " 。」












『…イザナ…』


「……やっぱりいいな、お前に名前を呼ばれるのは。」












カラン、












瞼に軽い口付けを落とされる。

ナイフを取り出し、俺の手首を縛るロープを切り裂いた。












「逃げられると思うなよ。
お前は天竺の " 女王 " になるんだから。」














『……俺は、お前の創る国の女王にはなれない。』

『俺の命はとっくに東卍に預けた。
俺は…お前のモノじゃない。』














「………」












イザナの纒う空気が冷え切っていくのを感じる。

それと同時に、瞳の紫の澱みは酷くなっていくようだ見えた。












ザシュッ、












鋭い音を立てて、ナイフが俺の顔の横を通り抜け、突き刺さった。

頰に刃先が滑ったようで、焼けたような痛みが走る。













首に、イザナの指先が添えられた。

それは徐々に力をこめられ、喉が歪な音を立てる。














「……今の状況わかってンのか?A。
ずーーっと言い聞かせてきただろうが。」

「___ " お前は俺のモノだ " 。」












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ハク - イザナはいったいどうなるんだ…展開にハラハラしてますッッ!イザナ生きてッ (2023年4月3日 1時) (レス) id: 1bed53529a (このIDを非表示/違反報告)
イザナ「情緒不安定」(プロフ) - 千冬ちゃんがとってもかっこいいんだか (2023年4月3日 0時) (レス) @page47 id: 398e436feb (このIDを非表示/違反報告)
イザナ「情緒不安定」(プロフ) - 嘘!?希咲だったの!?この次の展開がもの凄く気になりますね! (2023年4月3日 0時) (レス) @page46 id: 398e436feb (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(元シオン)(プロフ) - ソウヤ強い!漫画のこのシーン好きです! (2023年4月2日 21時) (レス) @page42 id: aaf368f7e9 (このIDを非表示/違反報告)
中也 - 末っ子同盟可愛い!! (2023年4月2日 19時) (レス) @page40 id: 75c64eb483 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:緋真 | 作成日時:2023年3月26日 21時

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