【東リベ】女王VI【男主】 (ページ19)

今日:13 hit、昨日:6 hit、合計:122,484 hit

269 ページ19

.

必死に、走っていた。

特攻服、諸々の鍵、学生証に携帯。
様々なものが詰められた鞄を持って、ココに指示された通りに逃げた。

ココはアジトに残り、上手く立ち回ってくれている…らしい。

単車で夜道を駆け抜ける。

.

やっとの思いで辿り着いたのは東卍のアジトとして使っている廃墟だった。

外にﾊﾞﾌﾞを停め、ふらふらと中に入る。

倒れ込むように鉄材の上へと傾れ込んだ。

頭が動かない。

脳が回る気配がない。

何を、しなきゃいけないんだっけ。

そうだ、携帯…きっと皆心配してる。

連絡、しないと。大丈夫だって。

身体が怠い。

思うように動かせない。

全身が鉛になったみたいだ。

そう、だ。

三ツ谷にも…東卍の皆に、も謝ら、ない…と…

『＿＿＿＿＿………』

.

.

「＿＿＿ろ、＿＿!!＿＿＿!!!」

「＿＿＿ょ＿＿か!?＿＿!!」

声が、聞こえる。

呻き声を漏らして、目を僅かに開いた。

「ッお嬢!!大丈夫か!?」

『ちふ、ゆ』

「お嬢!!よかった、目ぇ覚ましたんだな…!!」

『はっ、かい』

アジトで気を失ってしまっていたのを、千冬と八戒が見つけてくれたらしい。

八戒の上着が俺の身体にかけられていた。

「お嬢、今マイキーくん達来てくれるからな。」

「大丈夫か…?病院行くか?」

『ん、大丈夫…ありがと…』

寝返りを打つと、ｶﾗﾝ、と音を立てるピアス。

発信機付き、だとか言ってたっけ。

けど、俺は連れ戻されてない。

…抗争で、俺を引き摺り込む気なのだろうか?

身震いがした。

ココは大丈夫なんだろうか?

ココの金を生み出す能力を利用したいと言っている以上、変に痛めつけることも殺すこともないだろうけど…

…彼奴らに穢された俺の魂。

俺が痛めつけられたり、汚されるだけならまだ良かった。

ﾎﾟﾛ､

涙を流した俺に、千冬と八戒は焦ったように駆け寄って、動揺しながらも励ましてくれた。

此奴らの東卍への想いまで、穢されたような気がして。

…涙が止まることはなかった。

.