【東リベ】女王VI【男主】

251 ページ1

.















生まれた頃から背中に二つの傷痕があった。

ある程度育ってから見えた髪の一部分は真っ白で。










…俺の両親は、俺を " 天使 " と呼んだ。










子供らしからぬ綺麗な容姿は、人間離れしている程美しいと…よく家を訪ねてくる " 信者達 " は語る。

俺の両親は、俺が本物の " 天使 " だと盲目めいた心酔をして、…妙な宗教を始めた。












俺に許しを乞えば、今までの罪も過ちも流し去ってくれる。

神に愛された俺を愛すれば、
…きっと全てを神様は叶えてくださるだろう、と。













頭のおかしな、意味のわからない話だ。

俺は小さな子供だったから、それに反抗する力なんてなかったし。














育った環境が、俺を " 天使様 " に仕立て上げた。














俺には、特別な力なんてない。

俺は、神様に愛されてなんかいない。

俺が神様に愛されているのならどうして＿＿こんなにも苦しいのか。











俺が起こしたとされる " 奇跡 " は、俺の信者達が起こした暴走だ。

俺を本物の天使様にするための、演出。












苦しかった。

辛かった。













幼い頃から一緒だったイザナに、家のことがバレるわけにはいかなかった。

大好きで、大切な＿＿俺の家族だった彼奴には。
まあ結局…バレてしまったけど。











苦痛に悶える日々だった。











この息苦しさから解放されたのは、両親が事故で死んでからだった。












幸い信者達に実家の場所は話していなかったから、俺は両親の死を理由にあのイカれた場所から逃げ出した。

いつか見つかるんじゃないかと怯えて日々を過ごす中、俺はただ願っていたんだ。













＿＿＿＿俺が天使だと知る人間の記憶が、早く消えるように。













.












.













何もかもが怖くて、恐ろしかった。

息苦しくて、生きにくかった世界。
呼吸の仕方がわからなかった。














そんな俺を救ってくれたのが、＿＿＿お前だったんだよ。










.

252→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す