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ごじゅうきゅう ページ10

思い出したようにジョディが。


「ねぇ、千輝って監視されてたなら家バレてない?もしかしたら眠った隙を狙って、なんて事もあるんじゃ…?」

「そしたらその時です。裏切り者の死とかテンプレでしょう。」


映画とかで見ません?と付け足して言うとジョディが返す。


「そうかもしれないけど!」


このままだと終わりが見えない。

そう思っていたら赤井が爆弾を投下した。


「それなら俺の家で匿うか?」

「は?」


声に出したのは私だけだけどきっとこの場にいる全員は同じこと思ってる。


と信じてたけどジェイムズが


「赤井君なら心強いな。どうだ、椎名君。」

「あ、えっと…?」


いや、確かに心強いのはこの上ないけども…。


「俺は反対。」


入口でドアに背を傾ける魁利くんと圭一郎先輩。

魁利くんの腕にはギプスとそれを吊る三角巾。

やはり折れていたみたいだ。


「千輝ちゃんを助けるために協力してくれたのは感謝してるけど、アンタには渡したくない。」

「なんだ、嫉妬か?」

「は?まじ意味わかんねぇし。」


ガキっぽい反抗をした魁利くんを鼻で笑う赤井。


「で、どうする?」

「…なんでもいいです。」


考えるのが疲れた。

この空間から逃げ出したい。


「…赤井君に匿ってもらいなさい。」

「はい。」


一泊空けた後、一礼して会議室を出た。

ーーー


逃げ込んだ先はトイレ。

ずっと変な汗をかいていた手を洗う。

夜のトイレは怖いとか、今は関係ない。

一瞬、パッと顔を上げれば私の顔。



「…にて、る」



手にあたる水とは違って、弱々しく、零れ落ちた呟き。

事実を知ってしまった今、余計にそう感じる。

双子だから当然と言えば当然だけども。

そういえば、魁利くん、よく顔が似てるって気がついたな…。

自分じゃ何も分からなかったのに。



目だって普通に見えるし、

嗅覚だって異常はない。


味もちゃんとわかるし、

話すことだってできる。


肌に傷をつければ血は流れるし、

感情だって人並みにある。


水に触れても溶けたりしないし、

太陽の光を浴びて生きている。




それなのに、私はツクリモノ。



そして、捨てられた。








「千輝?」


パッと振り返れば


「ジョディさん…」

「大丈夫?顔色悪いわよ?」

「雨に打たれて風邪ひいたんですかね。」

「あ、シュウが探してたわよ?一旦帰ろうって。」

「わかりました。ありがとうございます。」

「ゆっくり休みなさいね。」

「ご心配どうも。」

ろくじゅう→←ごじゅうはち



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うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2023年5月5日 17時) (レス) @page43 id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - 月守ショコラさん» ありがとうございます!仲間ですねウヘヘ← (2018年10月12日 7時) (レス) id: 5927658f25 (このIDを非表示/違反報告)
月守ショコラ(プロフ) - オリキャラのやつ、私も拝見しています!これからもがんばってください! (2018年10月11日 21時) (レス) id: b1a1cb7aec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:歯磨き粉 | 作成日時:2018年9月18日 22時

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