会いたい…38 ページ25
今井side
「こっちまで振り返らないで走れ。」
真剣に言うその声に私は従った。本能的にやばいと感じた。でも、遅かった。足音が聞こえてきて私のすぐ後ろまで迫ってきた。
「1人ゲット〜w」
「そこの子もおいで〜ww」
捕まってしまった。あーこれは、やばい。
…Aちゃんなんで教えてくれたの?私あんなにに嫌がらせしたのに。
こればっかりは帰るかな。いくらなんでも裏切り者を助けるわけない。だめだ…と思った時
「あ、あの時のコンビニの前にいた子!」
こちら側にいる人間が叫んだ。知り合い…ではなさそう。
「こんなとこでも会えるんだっもう、運命じゃん?」
「また土埃まみれになりに来たのですか」
「ひどいなぁ…そんなこと言っているとこっちの子知らないよ〜?」
私終了のフラグですね。…なんでAちゃん帰らないの。
Aちゃんはどんどんこちらに近付いて
「その子帰してあげてください」と、頭を下げた。と思った時に足を引っ掛けて転ばせた。私もバランスを崩したが腕を引っ張って抱き寄せてくれた。
「お前帰れ」
「えっ、で、でも…Aちゃんが…」
「今頃何。散々嫌っておいて。いーから帰って。邪魔」
「でも…」
「でもでもうるさい。鈍臭いから逃げれないでしょ。足遅いくせに。」
ものすごく辛辣な言葉が降り注いだ。「でも…」なんて言うと怒られそうだから黙った。足でまといなのは確かだ。
「…Aちゃんっ……」
相手は5人。1人は倒れてはいるがすぐに起き上がる。
先輩たちが、まだ近くにいるかもしれない。公園内なら声は十分に届く。私の声で来てくれるかは別だけど、走るよりずっといい。
「たすけてーーー!!!」
思い切り叫んだ。
「チッ…黙って大人しくこい!」
そう言ってこちらに迫ってくる手を払ってくれる。私より数センチ大きいだけの女の子が私を守っている。酷いことをした私を、守ってくれている。
立ち向かおうとすらしなかった自分はとても弱いと実感した。
私を守りながら1人で5人を相手しているAちゃんはかっこよかった。けどもう体力が尽きそうだ。
「ほーら、来て正解だったな!」
「…!ザキさん!!」
「たまには役に立つな」
「たまにな」
「オレも言ってたよ〜wお待たせ!」
ぞろぞろと先輩達が駆けつけてくれた。よかった…!!
「…チッ…おい」
1人ただならぬ殺気を放つ花宮先輩。
Aちゃんの猛攻と、駆けつけてきた5人の威圧に負け、不良5人は立ち去った。
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作者名:雪空 | 作成日時:2017年12月5日 0時