誕生日 ページ38
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12月22日、1年に1回しかないその日は私にとって特別な日だった。
午前0時0分。パン、と小さめな音が横で鳴って隣にいただるちゃんに抱きしめられる。
「A、誕生日おめでとう。
…………生まれてきてくれてありがとう。」
「ふふ、だるちゃん。ありがとう。」
その日は私の誕生日。一番最初に祝いたい!なんてアピールするだるちゃんにじゃあ日付変わるまでお話してよ、と誘ってゆっくり紅茶を飲んだりしていた。
「な〜A、俺誕生日プレゼント用意したんやけど受け取ってくれん?」
「えっ、ほんと?…………だるちゃんから貰えるならなんでもうれしいけど。」
「……………俺の苗字、なんてどう?」
そんなだるちゃんの発言に言葉を失う。………だってそれは私がいちばん欲しくて、欲しくてたまらないものだったから。
「ほんとに?………いいの?私が貰っちゃっても」
「ええよ。Aやから俺もあげたい。
……………正式なんはまたするし本物もちゃんと用意するから今はこれで我慢しとってな。」
そうやってだるちゃんが取り出したのは赤い宝石がきらりと輝くネックレスで。
「ここに初めて付けるのは本物がいいって俺のワガママ聞いてくれる……?」
「………きく!だいすき、だるちゃん。」
ぽろぽろ、嬉しすぎてまったく涙が止まらない。ほんとに、私は世界一幸せかもしれない。
「俺も愛してるよ、A」
「私もだよ、だるちゃん。」
そうしてどちらからとも無く唇を合わせた。
その瞬間は私にとって1年の中で1番幸せで、大切な時間となった。
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作者名:翡翠 | 作成日時:2021年11月26日 1時