好き、嫌い、好き Ⅲ (ページ23)

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渡された招待状は、未来が詰まっていた。

咲が、先輩パイロットとゴールインすることになった。

今日は午後からの仕事のため、仕事が休みの咲から、直接招待状を受け取った。

交際3ヶ月のスピード婚
幸せそうな顔に安心した。

『周りが結婚ラッシュで怖いよ』

咲「あんたも波に乗らないと、40頃まで独身貴族になっちゃうよ」

『40どころで済めばいいけどね』

前に会ったときより伸びた髪を揺らして、咲は笑った。

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咲「ま、忙しいと思うけど来てよ」

『当たり前でしょー』

残りのピーチティーを飲み干す。

そろそろ仕事に行かなくちゃ。

咲「‥ねぇ、A？まだ、ショウさんのこと引きずってる？」

久しぶりに聞いた名前に、胸はチクリと痛んだ。
きっとそれが答え。

『‥‥簡単には消えないかな。でも、またショウと付き合いたいかって聞かれたら、それはないってきっぱり言える』

咲「そっか。‥なんか、それ聞いて安心」

柔らかい表情を見せて、彼女は私の背中を強く叩いた。

咲「がんばれ！」

『うん』

奢ってくれると言う咲に甘えて、お店を出る。
タイミングよく、電話が鳴った。

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『もしもし、部長？』

「ごめん、急に。今平気？」

長らく声を聞いていなかった部長からだった。
安定期に入って、今は、仕事の引き継ぎや何やらに追われてるらしい。

『はい、』

「聞きたいことあって。駅の近くにある、アムール、だっけ。あのバーって、Aの知り合いがやってるんだよね？」

『はい、高校の同級生が』

「新しい部長から企画書見せてもらってね、」

部長の話をまとめると、こう言うことだった。

次に特集を組もうとしているのが、巷で人気のバーに関すること。

そのなかでも、今健ちゃんの経営するバー
“Amour”が若い男女の間で凄く人気らしくて。

何でも、Amourで店長(健ちゃん)が作るオリジナルのお酒を飲むと、恋が叶うとか言われてるらしい。

その企画を聞いた部長が、私とそのお店との繋がりを思い出して、取材をお願いしたいと言う。

今持っている企画の事もあり、次期部長との協議もあったけど、部長が是非私に、と太鼓判を押してくれたと。

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『もちろん、私も取材したいです』

「そう来なくっちゃ。善は急げでなるべくはやく始めてね！」

私の返事なんて聞かず、電話は切られた。

『ふう、』

(相変わらずの部長だ)

そう思いながら、仕事の目的地である東京ドームに歩き始めた。

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