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ふわぁ、っと
甘くて意識が連れていかれそうな香りが漂った。
“勇人くん”
そう呼ばれた彼が、振り返る前に分かった。
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「‥‥彩登美、」
だから、彼がその名を呼んでも驚かなかった。
彩「うわぁ、懐かしい。勇人くんだ、」
「何、してん？」
彩「遊びに来ちゃった」
ミルクティーブラウンのふわふわの髪
ぷっくりした唇に、ぱっちりした目。
ふいに勇人の肩に触れた指先まで綺麗。
敵わない
そう思った。
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上品に笑った彼女は、私に視線を向けた。
彩「もしかして、【Rainbow】のエディターさんっ？」
『ぁ‥、はい。桜庭と言います』
何で分かったんだろ、
そう思っていると彼女は言葉を続けた。
「よお分かったな」
彩「こんなにおしゃれで素敵な人なんだもの、分かるわ。私あの特集毎月読んでるの！」
『ありがとうございます』
笑顔が絶えない彼女は、本当にキラキラしてて
勇人が惚れてしまう理由も、わかった気がした
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「彩登美、向こう行って二人で話そう」
モヤっとしてしまう。
その一言が、気分を重くする。
彩「うんっ。じゃあ、桜庭さんこれからも楽しみにしてますね。あ、私、橋本彩登美と言います。」
最後に優しく私の手を包み込んで握手した彩登美さんは、可愛らしく笑った。
「‥‥」
勇人は、私をちらっと見ただけで何も言わなかった。
二人の後ろ姿が、あまりにもお似合いで、
何も言えなかった。
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作者名：理彩 | 作成日時：2018年8月2日 22時
