好き、嫌い、好き Ⅱ (ページ16)

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選手たちがいなくなって、部長が戻って来るまでの間、ひとりになった。

さっきの言葉は、果たしてどういう意味？

仕事として、来いってことだよね。
勝て、って思ってる自分がいるのは当然なんだけど

負ければいいのに、なんて思ってる自分もいる。

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「桜庭、野球わかるの？」

試合が始まる数十分前ー
着席した私たち

さっき買った飲み物を口にしながら、部長が尋ねた。

『多少は勉強しました。部長は？』

「弟が野球してたからね」

お仕事を一緒にするってなって、一生懸命勉強したよ。
ルール知らないなんて失礼すぎるからね。

彼らを知れば知るほど、遠い存在だと思ったのも事実で。

「この間、桜庭の元カレに会った」

『‥‥そうですか』

思いもよらない言葉に、不覚にも言葉が詰まる。

「あそこのブランドの新作の特集でね、」

“やっぱりイケメンだったわ”って
悪戯っぽく笑う。

「何が原因で別れちゃったの？私が聞くことじゃないと思うけど、7年ってそんな簡単な時間じゃないでしょう」

「復縁、ないの？」

『ないです』

それだけは、きっぱり言える。
吹っ切れたのかと言われれば、まだ整理はできてない。

原因は、今になったら分からない。

私が悪かったのか
彼が悪かったのか

どっちにしろ、私たちがひとつになることはなかった。

でも、決めた。

グラウンドに出てくる選手たちを見ながら、私は前を向けていたと思う。

『今は、前しか見ません』

ふふっ、

少しだけ口角をあげた部長が、

部長らしかった。

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