好き、嫌い、好き Ⅱ (ページ2)

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入居して1週間後の月曜日

新しい家にも慣れた。

家具もほとんど揃って、
いろいろ吹っ切れて、
同僚に生き生きしてるね、なんて言われるようになったりして。

たくさんの変化があった。

勇人は相変わらず遠征で
その間に、リカさんのお店の会員になったり

企画も進んで、週末に本人たちと直接会って打合せすることになった。
(未だに本人には言えてないけど)

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咲「もしもーし、今平気？」

珍しい。
咲からの電話

『もしもし、うん、どしたー？』

咲「新しい生活どう？一人酒とかしたりしてないでしょうね？」

その一言にギクッ、となる。
(丁度、冷蔵庫から酎ハイの缶を取り出して蓋を開けたところです)

なんて、口が裂けてもいえない。

『もう、切るよ、』

咲「あー待ってよ！金曜、空いてる？合コン行かない？」

彼女なら何回も聞いたことのある言葉
何度騙されて付き合ったことか

(そもそも咲、彼氏居るでしょ)

咲「あ、勘違いしてない？今回は私もただの人数合わせだから。会社の先輩だから断れないのー」

『嫌だよ。CAに囲まれるの怖い』

お酒の缶をガラステーブルに置いてテレビをつけた。

(スポーツニュース、)

咲「お願い！」

『助けてあげたいけど、金曜大切な打ち合わせあるから』

《昨日の試合を振り返ってみましょう。まずは巨人対阪神、》

電話の奥で項垂れる彼女とは別に、“巨人”というワードに視線が行く。

《巨人の一番坂本、初回からツーベースとチャンスを作ります》

(あ、勇人、)

テレビに写る勇人は、いつも会う様子とは180度違った。

新鮮なユニフォーム姿
笑顔の無いその表情に、知らない彼の一面を知った。

咲「どうしても駄目？」

《スタメン起用にこたえた石川はヒットで繋ぎ、5番亀井がツーランホームラン》

(ぁ、そっか‥‥。このお二人も野球選手、)

『‥‥凄い、』

咲「えっ？何が？」

『え？』

タイミングが良いのか悪いのか

インターフォンが鳴った。

『ごめん、ちょっと』

誰だろう。
遅い時刻に。

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『え』

なぜ。
WHY?

『ご、ごめん。切るね』

えっ、ちょ、なんで！

咲が言った台詞
そっくりそのまま言いたい気持ち

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『なんでっ？』

「よっ、」

扉を開けた先には、さっきまでテレビの奥にいた

勇人がいた。

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