好き、嫌い、好き Ⅱ (ページ24)

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電車のなかで、さっき勇人からされた質問を考える。

自分から聞いてきたくせに、秘密だなんて。
相変わらず。

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“忘れられない人”

それは、私にとって良くも悪くも

ショウだと思う。

彼に出会ってなければ、今の私は居ない。

彼は、今の私をつくってくれたひとりだ。

きっとショウに出会ってなければ、

東京に出る勇気も持てなかったし

恋も知らないままだった。

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『リカさんは、忘れられない人っていますか？』

開いていた本を閉じて、リカさんに尋ねる。

入店して1時間ちょっと。

お酒と本のペースは順調
休憩がてら、さっきの質問をリカさんにしてみた。

リ「忘れられない人？何それ、いきなり」

『いきなりで驚いちゃいますよね。私もさっき勇人に聞かれて、』

リ「‥坂本、何って？」

『秘密、って。ズルいですよね、』

カクテルを口に運ぶ。

グレープフルーツの甘味が口一杯に広がる。

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リ「Aちゃんの忘れられない人って、元カレ？」

『‥今はそうですね。未練もちょっとありますけど』

リカさんは、何かを考えて

決心したように私を見た。

リ「私の憶測だけど、坂本の忘れられない人って、元カノだと思う」

『‥、ぇ‥‥？』

リカさんの真剣な表情が、キリリと胸を痛くさせた。

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