6月 ページ7
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梅雨の時期に突入し、この所雨模様が続いていた。
それに呼応するように彼女は具合が悪い。低気圧も相まり、「頭が痛い」と訴えぐったりと横になるばかりだった。
「トンちゃん、……お水ほしい、」
顔を顰め痛みに耐える彼女の口元にストローを近づける。少量口に含んだ後、はぁ、と息をついた。
「……貰うか？痛み止め」
「嫌……、ここにいて」
先生を呼びに行こうと椅子から腰を浮かせた俺の服を弱々しく掴む。
今日も彼女は夕食後の薬が飲めず、その手には点滴が打たれていた。
朝や昼はまだ調子がいいものの、近頃夜はめっきりダメだった。
強くなる雨足に、一層険しくなる顔。
枕に顔を押し付け深く息を吐き出す姿に俺はどうすることも出来ず、ただいつものように彼女の手をギュッと握っていた。
「………トンちゃん、」
「ん？」
「もう帰る…？」
枕からちらりと片目だけ覗かせ、不安そうにそう言う彼女。時計を見れば、いつもならそろそろ帰る時刻だった。
「アホ。置いて帰れるか」
「………んふふ、」
良かった、そう顔に書いてある彼女は、クイッと俺の手を引いて頬擦りした。
痛みに耐え汗ばんだ頬を撫でてやれば、気持ちよさそうに目を瞑る。
「………あー、暖かい」
「暑ない？」
「んーん、………もっとして、」
布団の中からちらりと俺を見上げる彼女。額の汗も拭ってやり、そのまま柔らかい髪を梳いた。
「落ち着いた？」
「うん、ちょっとだけ。ありがと」
いつも通りの笑顔を浮かべる彼女。
だらりと枕元に投げ出されていた手を引き、細い指先にそっと唇を落とした。
「あ、王子様みたい」
「やめろ、恥ずかしいこと言うな」
「えー、だってそうじゃん」
私の王子様、と笑う。
照れ臭すぎてそっぽを向く俺の手をスリスリと撫で、同じように唇を寄せた。
「私が辛い時、すぐ助けてくれる」
俺の手を弄びながらぽつりと彼女は呟く。
「私の事、すごい大事にしてくれる」
「………なに？恥ずいねんけど」
「へへ。……いつもありがとうって言ってるの」
照れ臭そうに俺の手で目隠しをする彼女。それ、俺の手やから意味無いで、と目隠しをとっぱらい、無防備な唇に触れるだけのキスを落とした。
「あー！ずるい、」
「変な事言うな。俺が好きでやってんねんから」
「んふふ、…私のこと超好きじゃん」
「知らんかった？超好きやで」
すっかり顔色も良くなった彼女は、耳まで真っ赤にしてプイっとそっぽを向いた。
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夏のスイカ - 初コメ失礼します。見させてもらっています。めちゃくちゃ感動しました。とても悲しいけどいい物語だと思いました......両方とも来世でまた結ばれ元気に過ごしてるのを見てみたいですね。最高でした..。きっといつかこの2人がまた来世で会えたらいいな.長文失礼しました (2021年9月11日 10時) (
レス) id: b5169bd6bc (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - あ“ぁ”ぁ“ぁ”ぁ“ぁ”ぁ“ぁ” もう無理、、、悲しすぎんよ、、、ちょっとこれはもう最高やわ、、、友達に布教する、、、友達wrwrd知らないけど、、、知らなくても普通に泣ける、、、最高ですわ、、、 (2020年5月26日 4時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ - はじめまじでぇぇ！！！！ただいま泣きじゃくりながら読ませていただきました。絶賛号泣中でございますぅ！！いや、もー最高です(ﾉД`)4月位から涙目で読んでました。涙腺崩壊しますぅぅぅ取り敢えず好きです。（は？ (2020年5月25日 15時) (レス) id: ebc34290bc (このIDを非表示/違反報告)
鬱嶌。(プロフ) - 初めまして。読ませて頂きました、いつもなら泣かないのですが涙が出てしまいました。本当に本当に素敵な作品でした、手紙のところ、泣きながら書いたのかなとか考えるともっと涙が溢れて…他の作品も読ませて頂きます。これからも頑張ってください！応援しています、！ (2020年5月15日 2時) (レス) id: 38c66e0295 (このIDを非表示/違反報告)
ちべすな。(プロフ) - 作品、読ませて頂きました。読み終わる頃には、泣いてました。本当に素晴らしい作品でした。これからも応援しています！ (2020年3月29日 22時) (レス) id: 60661416db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年1月26日 23時
