5月 ページ6
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5月末。
学校ではレポートの提出に追われ、外へ出ればバイトに勤しむ日々。
そんな中でも、毎日彼女の顔を見に行くことは絶対欠かさない。
けれど今日はいつもより少し遅くなってしまった。
足早に廊下を歩き、いつも通り彼女の病室の扉をノックすれば、いつもは「はーい」と返ってくる返事が今日は聞こえず。
寝てる？でもまだ8時やしなぁ…と一気に色々な憶測が駆け巡る中、不安を感じながらもそっと扉を開いた。
「ん！？ほんひゃん、ほほはっはへ」
「なんや、歯磨きか…」
奥の洗面所からひょこっと顔を出した彼女に安堵しつつ、多分「遅かったね」と言ったであろう彼女にバイト長引いてん、と説明。
と、うがいをしてベッドに戻ろうとしている彼女が引っ張っているものを見て、目を見開く。
「え…なにそれ、どうしてん？」
「あぁ…今日はちょっと、薬飲めなくて」
カラカラ、とベッドの横にそれを置き布団に潜り込む彼女に詰め寄った。
「点滴て…具合悪いんか？」
「もぉ、そんな怖い顔しないでよ。もう平気だから」
夕食後、いつも通り薬を飲もうとしたら気分が悪くなったのだそう。口からの服薬が難しいということで、夕食後の薬を点滴に替えてもらったと言う彼女。
俺は、彼女の変化にめっぽう弱い。
昨日できたことが、今日はできない。昨日無かったものが、今日増えている。
日々衰えてゆく様を見せつけられているようで、ふと恐ろしくなる。
俺の彼女は病気なんだ。それも原因不明の不治の病。いつ何が起こるかなんて分からないのに、明日がある事に慢心してしまう自分がどこかにいた。
「ごめん……A、」
「えぇ？もう、どうしたの？よしよし」
情けなくも震える声で彼女の名前を呼んだ。彼女は布団の中から手を伸ばして俺の頭を撫でた。
名前を呼べば、返事が返ってくる。その手に触れれば、握り返してくれる。
その『当たり前』は彼女にとって『当たり前』ではないことを俺は理解していたはずなのに、どこかで安心しきってしまっていた。
「俺あかんねん……弱いな」
「へへ。私は強いから、2人で丁度いいよ」
俺の指先に人差し指をちょん、と当てて、「はい、一心同体」なんて笑う。
俺がしっかりしないと、と思うのに、俺は彼女の笑顔に寄りかかりっぱなしだった。
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夏のスイカ - 初コメ失礼します。見させてもらっています。めちゃくちゃ感動しました。とても悲しいけどいい物語だと思いました......両方とも来世でまた結ばれ元気に過ごしてるのを見てみたいですね。最高でした..。きっといつかこの2人がまた来世で会えたらいいな.長文失礼しました (2021年9月11日 10時) (
レス) id: b5169bd6bc (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - あ“ぁ”ぁ“ぁ”ぁ“ぁ”ぁ“ぁ” もう無理、、、悲しすぎんよ、、、ちょっとこれはもう最高やわ、、、友達に布教する、、、友達wrwrd知らないけど、、、知らなくても普通に泣ける、、、最高ですわ、、、 (2020年5月26日 4時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ - はじめまじでぇぇ！！！！ただいま泣きじゃくりながら読ませていただきました。絶賛号泣中でございますぅ！！いや、もー最高です(ﾉД`)4月位から涙目で読んでました。涙腺崩壊しますぅぅぅ取り敢えず好きです。（は？ (2020年5月25日 15時) (レス) id: ebc34290bc (このIDを非表示/違反報告)
鬱嶌。(プロフ) - 初めまして。読ませて頂きました、いつもなら泣かないのですが涙が出てしまいました。本当に本当に素敵な作品でした、手紙のところ、泣きながら書いたのかなとか考えるともっと涙が溢れて…他の作品も読ませて頂きます。これからも頑張ってください！応援しています、！ (2020年5月15日 2時) (レス) id: 38c66e0295 (このIDを非表示/違反報告)
ちべすな。(プロフ) - 作品、読ませて頂きました。読み終わる頃には、泣いてました。本当に素晴らしい作品でした。これからも応援しています！ (2020年3月29日 22時) (レス) id: 60661416db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年1月26日 23時
