2月 ページ3
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それから1ヶ月後、毎月行っていた彼女の原因不明の病に関する検査は無くなった。
なんでも、彼女が自分から「もう知らなくてもいいです」と申し出たらしい。
「ほんまにええの？」
「うん。今までも知らなかったんだし、一緒だよ」
「せやけど…」
彼女は強い。
俺だったら、意味不明な病気に襲われ治る見込みもない、なんて状況耐えられない。
それなのに、苦手な薬が増えても、具合の悪い日があっても、彼女はいつもニコニコ笑っていた。
それが余計に、辛かった。
「ほんとの事言うと…血採るの嫌なの」
注射は嫌い、と肩を竦める彼女。
病気の検査をするのにも、採血したり身体に管を入れたり絶食しなければならなかったりと、彼女が嫌いなことばかりだった。
そのせいで彼女が毎回検査を嫌がっていたのも、知っていた。
「………せやな、美味いもん食べる方が大事やな」
「へへ、でも病院のご飯美味しくないよ」
「わがまま言わへんの」
「あーあー。私、トンちゃんの作ったオムライスが食べたいなぁ」
今日もベッドで横になっている彼女は、ぼんやりと天井を眺めながら呟いた。
こんなにささやかで可愛いお願いが他にあるだろうか。
ズキリと胸が締め付けられる。そんなささやかな願いすら叶えてやれない自分の不甲斐なさに拳を強く握った。
「……、外泊許可、降りたらな」
「えー！先生にお願いしようかなぁ…今はまだ寒いから春になったらがいいなぁ、」
元気になったら、なんて残酷な言葉はとてもかけられなかった。
去年までは度々外泊が許されていたけれど、今年に入ってからはパタリとそれもなくなった。
1月頭の検査結果で、病名に関しては不明なままだったけど、1つ明らかになった事がある。
「A、薬飲む時間やろ」
「あっ、ほんとだ。トンちゃん水とってー」
粉薬から錠剤、人工的な色合いのカプセルなど、痛々しい程の量の薬のほとんどは、心臓に関わる薬だった。
彼女の余命宣告は、心臓が原因だった。
最も、その心臓が何故こんなに弱っているのかは分からないけれど。
薬で無理やり進行を遅らせられる限界が、あと1年だとその時告げられた。
「はい！プレゼント」
「ゴミやんけ」
器用に薬のフィルムで折り鶴を折る彼女。
手の平に乗せられた小さな鶴をゴミだと言いつつも、俺は何故だかそれを捨てることが出来なかった。
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夏のスイカ - 初コメ失礼します。見させてもらっています。めちゃくちゃ感動しました。とても悲しいけどいい物語だと思いました......両方とも来世でまた結ばれ元気に過ごしてるのを見てみたいですね。最高でした..。きっといつかこの2人がまた来世で会えたらいいな.長文失礼しました (2021年9月11日 10時) (
レス) id: b5169bd6bc (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - あ“ぁ”ぁ“ぁ”ぁ“ぁ”ぁ“ぁ” もう無理、、、悲しすぎんよ、、、ちょっとこれはもう最高やわ、、、友達に布教する、、、友達wrwrd知らないけど、、、知らなくても普通に泣ける、、、最高ですわ、、、 (2020年5月26日 4時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ - はじめまじでぇぇ！！！！ただいま泣きじゃくりながら読ませていただきました。絶賛号泣中でございますぅ！！いや、もー最高です(ﾉД`)4月位から涙目で読んでました。涙腺崩壊しますぅぅぅ取り敢えず好きです。（は？ (2020年5月25日 15時) (レス) id: ebc34290bc (このIDを非表示/違反報告)
鬱嶌。(プロフ) - 初めまして。読ませて頂きました、いつもなら泣かないのですが涙が出てしまいました。本当に本当に素敵な作品でした、手紙のところ、泣きながら書いたのかなとか考えるともっと涙が溢れて…他の作品も読ませて頂きます。これからも頑張ってください！応援しています、！ (2020年5月15日 2時) (レス) id: 38c66e0295 (このIDを非表示/違反報告)
ちべすな。(プロフ) - 作品、読ませて頂きました。読み終わる頃には、泣いてました。本当に素晴らしい作品でした。これからも応援しています！ (2020年3月29日 22時) (レス) id: 60661416db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年1月26日 23時
