47話 ページ47
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校舎裏の倉庫の前なんて、入学してから初めて来た。
てっきり一緒に帰るのかと思えば、違ったようで。
「ショッピ君と帰る予定やったん？」
「聞こえてたんですか」
試験の結果とか、私の進級が決まった事とか、聞きたいことや言いたいことは山ほどあるのに、開口一番言われたのはそんな言葉。
久しぶりに見る先輩の顔が不服な顔なんて嫌だな、と「断るつもりでした」と小さく答える。
「テストは？ちゃんと進級できるんか？」
「先輩のいない間は勉強に打ち込んでたので、ばっちりでした」
不安げに尋ねる先輩に、ピースして笑う。それに自分の事のように安堵して「頑張ったな、」と頭を撫でられ、久しぶりの先輩の体温にドク、と心臓が跳ねた。
「先輩は？合格ですよね？」
「まぁな」
「…よかった、」
県外、の文字が頭を過ぎり、かき消すようにキュッと拳を握った。
でも先輩が合格して嬉しい事に変わりはないから、用意していた｢おめでとうございます｣の言葉を予定通り伝えた。
「後は卒業するだけやなぁ、」
「……、」
そうですね、と言うつもりだったのに。ザワつく胸の内が邪魔をして、予定と違うことをしてしまう。
しまった、と思った時にはもう遅く、何も言わない私を先輩はじっと見ていた。
「…A？どないしたん？」
「すみません…なんでも、ないです」
「なんでもなくないやん、」
やめて、見ないで。
初めてトントン先輩にそう思ってしまい、いたたまれず下を向く。
心配かけたらいけない。困らせたらいけない。何か言わないと、と頭をフル回転させるも、身体中が訴える『寂しい』が私の視界をぼやけさせ、ポタリと地面に落ちた。
「A…？こっち向いてや、」
「…嫌、です」
「嫌やない、…俺の言うこと聞けへんの？」
ずるい、そんな言い方ってない。
どこまでもトントン先輩に従順な私は条件反射で聞き入れそうになったけれど、今日ばかりは我慢する。
「…ふーん、今日はえらい強情やん」
「たまには悪い子になるんです、」
「へぇ……俺はいい子のAが好きやけどなぁ、…」
突如、言葉尻と共にグッと肩を押され、掴まれた手首が壁に押し付けられる。
「っ、！せんぱ、」
「…言うこと聞かへんのが悪いねんで」
頬に添えられた手にいとも容易く上を向かせられ、涙が溜まった目のまま先輩と視線が絡んだ。
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美雨 - この作品お気に入りすぎて5回くらい見ました、、、()本当に素敵な作品できゅんきゅんしまくりです！！！最後の言葉がぐっと来て本当に泣きそうになりました。素敵な作品ありがとうございました。 (2023年1月7日 17時) (
レス) @page50 id: c21832273f (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆ - はぅ、、、、、とんとん、、、、、ちゅき、、、、、 (2020年9月28日 11時) (レス) id: f773b15172 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - 初コメ失礼します…あー！！！！！甘酢っぺぇ！会社の方見てからこっち来たんですけどどっちも甘々なのになんか、両方とも違う甘々でくっときました…天才ですか…好きです。長々と失礼いたしました…これからも応援しています…！ (2020年7月13日 6時) (レス) id: 57a2a5c5a9 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もうなんか今順番に読んでるんですけど必ずと言っていいほど泣くんですけど、え？tn氏かっこよすぎん？好き。 (2020年5月26日 3時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 初コメ失礼します！もう感動しすぎて泣いちゃいました........ (2020年5月13日 17時) (レス) id: a7dcf8f420 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2019年12月31日 0時
