24話 ページ24
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なんでそんな事になったのか説明しろ、と何故か怒られ、立ちくらみ前のぼんやりした記憶を探り探り辿る。
「えーと…この間、英語の小テストを一発合格したら話したいことがある、と言われていまして」
「…ほう」
「それで今日テストで、ケンちゃんは一発合格したんです。…あ、ちなみに私は2点だったんですけど」
「ほう…ってお前、2点て…」
「終わった後に用件聞いたら、好きって言われただけです……なので怖い顔しないでください」
何故か一触即発の顔をしている先輩を恐る恐る窺う。
「ほーん…で?なんて返事したん?」
「え?いや…特には、」
「は?なんでやねん」
「え?すみません…?」
突然険しい顔になる先輩。咄嗟に条件反射で謝罪をかます。
「ケンちゃん、私がトントン先輩を好きって知ってるからいいかなって…すみません…」
「ほーん。そいつ、それ知ってんのにわざわざ言うてきたんや」
「え?はい…ていうかなんでそんなに怒ってるんですか」
「Aのガードがゆるゆるなんが悪いんやぞ。絶対今後もあるで、こういうこと」
大真面目な顔でそんなことを言うので、私は拍子抜け。
1から10まで説明してくれた先輩はどこか吹っ切れたのか、どストレートに感情を露わにして物を言うので、まるで別人なその姿に私の頭は追いつかない。
「や、今までそんなことなかったし今後もないです」
「あったやんけ今日。それに言うたやろ、最近3年の間でよく聞くねん、Aが可愛いって言われてんの」
「それは間違いなく母性本能の方なので全く平気です」
「それも気に食わんねん」
ああ言えばこう言う。どちらも引かずに睨み合い。
そんなことより私、こんなにグイグイ来る先輩知らないんだけど。心臓に悪いんだけど。
「あの……普通に照れるので勘弁してください」
結局いつも通り私が負け、恥ずかしさに先輩から目を逸らす。それにククッと肩を震わせた先輩。やっぱり大人の余裕は健在だった。
「誰もいい所知らんでいい…って、こっちの台詞やな」
「先輩、私のいい所なんて知ってたんですか」
「ん?言おか?」
「いい!いいです」
先手必勝。爆死する未来は目に見えていたので先回り阻止。
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美雨 - この作品お気に入りすぎて5回くらい見ました、、、()本当に素敵な作品できゅんきゅんしまくりです!!!最後の言葉がぐっと来て本当に泣きそうになりました。素敵な作品ありがとうございました。 (2023年1月7日 17時) (レス) @page50 id: c21832273f (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆ - はぅ、、、、、とんとん、、、、、ちゅき、、、、、 (2020年9月28日 11時) (レス) id: f773b15172 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - 初コメ失礼します…あー!!!!!甘酢っぺぇ!会社の方見てからこっち来たんですけどどっちも甘々なのになんか、両方とも違う甘々でくっときました…天才ですか…好きです。長々と失礼いたしました…これからも応援しています…! (2020年7月13日 6時) (レス) id: 57a2a5c5a9 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もうなんか今順番に読んでるんですけど必ずと言っていいほど泣くんですけど、え?tn氏かっこよすぎん?好き。 (2020年5月26日 3時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 初コメ失礼します!もう感動しすぎて泣いちゃいました........ (2020年5月13日 17時) (レス) id: a7dcf8f420 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆらら | 作成日時:2019年12月31日 0時