23話 ページ23
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何も答えてくれない先輩の顔を怖くて見れず、ただ先輩の首にかかっているネクタイを凝視していた。
と、先輩が徐ろに私の方への手を伸ばしたと思えば。
「っ、！いったぁ！」
「お前なぁ…アホなんは勉学だけに留めとけや」
弾かれたおでこを抑えて痛みに悶えていれば、先輩は体内の空気を全部吐き出したのでは無いかと言うほど大きなため息をついた。
「……わるくちですか」
「そうやで、俺がちょっと見くびっとったわ。Aの頭の悪さ」
「おでこも心も痛いんですけど」
突然頭の悪さを罵られムスッとしていると、呆れたように口を開く先輩。
「お前さぁ…何とも思ってないただの後輩を真夏におぶって家まで送り届けた挙句寝るの見届けるまでずっと隣におるほど俺の事お人好しやと思ってんの？」
「……えぇと、寝不足なので理解が追いつかないです」
「はぁ……ほんっまに1から10まで説明せんとわからんねんな、」
「わかんないです。馬鹿なんですもん」
ここぞとばかりにそう言うと、ため息混じりに「しゃーないなぁ、」と大好きな言葉を呟かれる。
「……何とも思ってないわけないやろって、」
「……へ、」
「だから、ただの後輩にここまでするわけないやろ……分かれや」
「え、え！？それって、！」
「好きとは言うとらんで。勘違いすな」
間髪入れずにそう言われ、しゅるしゅると期待が萎む。でも、でも。
「それって……特別ってことじゃないですか！」
「自分で言うねやそれ…まぁ間違うとらんけど」
「せ、先輩どうしよう……わたし今めちゃくちゃ好きなんですけど、先輩のこと」
「いつも好きとちゃうんけ」
ククッと笑う先輩。今度こそやっぱり夢じゃないかと思ったけれど、さっきのデコピンは相当痛かったから現実だ。
どうしよう、私、こんなに幸せでいいのかな。後でものすごい報復が来ないかな。ていうかこれドッキリとかじゃないかな。だとしても美味しいシチュエーションが味わえたからそれはそれでいいか。いや良くないかも。
「先輩、私のものになる前に誰かのものになったらダメですよ」
「ならへんわ。こんな物好きお前だけやで」
「誰も先輩のいい所知らなくていいです、私だけ知ってればいいんです」
「せやけど、Aのいい所は他のやつも知っとったみたいやなぁ」
「へ？」
突然の低い声に驚けば、先輩の口が弧を描いた。
「ケンちゃんに告白されたってさっき言うとったよなぁ？忘れてへんで」
意地悪く笑う先輩に、思わず後ずさり。
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美雨 - この作品お気に入りすぎて5回くらい見ました、、、()本当に素敵な作品できゅんきゅんしまくりです！！！最後の言葉がぐっと来て本当に泣きそうになりました。素敵な作品ありがとうございました。 (2023年1月7日 17時) (
レス) @page50 id: c21832273f (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆ - はぅ、、、、、とんとん、、、、、ちゅき、、、、、 (2020年9月28日 11時) (レス) id: f773b15172 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - 初コメ失礼します…あー！！！！！甘酢っぺぇ！会社の方見てからこっち来たんですけどどっちも甘々なのになんか、両方とも違う甘々でくっときました…天才ですか…好きです。長々と失礼いたしました…これからも応援しています…！ (2020年7月13日 6時) (レス) id: 57a2a5c5a9 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もうなんか今順番に読んでるんですけど必ずと言っていいほど泣くんですけど、え？tn氏かっこよすぎん？好き。 (2020年5月26日 3時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 初コメ失礼します！もう感動しすぎて泣いちゃいました........ (2020年5月13日 17時) (レス) id: a7dcf8f420 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2019年12月31日 0時
