22話 ページ22
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今日は珍しく曇り空で、炎天下の中先輩に私を背負って歩かせなくて本当によかったと痛感していると、程なくして家に着いた。
いくら曇り空と言えども夏は夏。先輩の首筋にもじわりと汗が滲んでいた。
あぁ私ったら、なんて迷惑な事をしてしまったんだろう。挙句先輩を謝らせてしまったし。
「先輩……すみませんでした、迷惑かけて」
背中から降りて頭を下げ、久々に地に足着いた感覚にまたクラっと来そうになったけど、なんとか踏ん張る。
でもそれを見逃さなかった先輩。
「ええからはよ家入り。Aが布団で寝るん見届けてから帰るわ」
「いや、流石にちゃんと寝ます…」
「アホ。心配やねん、分かれや」
え、と言うまもなく2人で家に入りそのままあれよあれよという間に寝かされる私。そしてそれをじっと覗き込む先輩。
なにこの状況。
私、自分の部屋に先輩と二人っきりになれるシチュエーションを実現できるほど徳積んでたっけ。
「……先輩、」
「ん？」
やっぱり夢かもしれないと隣にいる先輩を呼ぶと大好きな声が返ってきて、さっき引っ込んだはずの涙がまたじわりと溢れた。
「……、何泣いてんねん」
「すみません…なんか、安心しました」
呼べば応えてくれる距離にいる。それに心がギュッと痛くなる。これが好きすぎて胸が締め付けられるというやつだ。
「……せん、ぱい」
「はいはい、おるで」
「……わたし、先輩のこと好き…」
「……知っとるっちゅーねん」
意識してない人からの好意の言葉は相手を困惑させるだけ。
今日それを実感したはずなのに、また先輩を困らせることをしてしまう。
案の定先輩は眉を寄せて難しい顔をしていて、申し訳なさでまた涙が滲んだ。
「あー、もう泣くなや」
「だって、…先輩、困ってますよね」
「はぁ？何のこと？」
勝手に流れ出てくる涙はもう自分では制御が効かなくて、先輩を困らせるって分かっているのにスルスルと動く口は止まらなかった。
「……私今日、ケンちゃんに好きって言われた」
一瞬、ピタリと動きを止めた先輩。
「でも私、困るなぁとしか思えなかった…だって私、ケンちゃんの事そんな風に見たこと無かったから」
表情の読み取れない顔で私を見ていた先輩と、視線がかち合う。
「……先輩も、何とも思ってない人から好きって言われても……迷惑なだけ、ですよね」
迷惑。
自分で言って腑に落ちてしまい、また涙が溢れた。
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美雨 - この作品お気に入りすぎて5回くらい見ました、、、()本当に素敵な作品できゅんきゅんしまくりです！！！最後の言葉がぐっと来て本当に泣きそうになりました。素敵な作品ありがとうございました。 (2023年1月7日 17時) (
レス) @page50 id: c21832273f (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆ - はぅ、、、、、とんとん、、、、、ちゅき、、、、、 (2020年9月28日 11時) (レス) id: f773b15172 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - 初コメ失礼します…あー！！！！！甘酢っぺぇ！会社の方見てからこっち来たんですけどどっちも甘々なのになんか、両方とも違う甘々でくっときました…天才ですか…好きです。長々と失礼いたしました…これからも応援しています…！ (2020年7月13日 6時) (レス) id: 57a2a5c5a9 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もうなんか今順番に読んでるんですけど必ずと言っていいほど泣くんですけど、え？tn氏かっこよすぎん？好き。 (2020年5月26日 3時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 初コメ失礼します！もう感動しすぎて泣いちゃいました........ (2020年5月13日 17時) (レス) id: a7dcf8f420 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2019年12月31日 0時
