21話 ページ21
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ゆらゆら、と規則的な身体の揺れに、意識が徐々に輪郭を帯びてくる。
重たい瞼をゆっくり持ち上げると、まず視界に入ったのはアスファルト。私は外にいるらしい。そして次に目に付いたのは見慣れた襟足。これは見間違うはずもない、大好きな先輩の襟足で間違いない。
「……えぇ！？」
「うお！なんや起きとったんかいな、耳元ででかい声出すな」
状況を整理すると、私は学校ではなく外にいて、そして何故か先輩の背中に背負われている。
「………なにこれ、夢？」
「夢じゃないんだよなぁ」
のんびり答える先輩に、ハッとする。
「え、あの、歩けます私、すみません、今すぐ降ります」
「いやあかんよ、家着くまでそこにいとき」
「だ、ダメです！だって昨日夜中にお菓子食べちゃったし、」
「あーわかるわ、夜中って腹減るんよな」
「今そういう話はしてないです！」
先輩の忠告も忘れて耳元でぎゃあぎゃあ喚く私。迷惑そうに顔を顰めた先輩。
そもそもどうしてこんなことに？教室で倒れた事は何となく覚えてる。確かケンちゃんと話してて…
「！そうだ、先輩！ケンちゃんは？ていうか、なんで先輩がここに？」
「へー、そんなにケンちゃんが良かったんならここに置いて帰るで」
「違います！本音を言うと、先輩が近すぎてまた気絶しそうなんですけど、そういう話もしてないです！」
「2回目は勘弁してくれや…死ぬほど焦ったんやぞ、俺」
焦った、の言葉にピタリと思考停止した私に、先輩がポツポツと呟いた。
「Aんこと迎えに教室行ったら男子が血相変えて飛び出してきて、見たらAが顔面真っ青で倒れとった」
「その男子にAが寝不足やったって聞いて合点ついたわ。ごめんな、俺のせいで無理させたよな」
静かにそう言った先輩に、首が取れるほどブンブンと振った。
「いやいや！私が勝手にした事です。先輩に謝られること、何も無いです」
「ちゃうやろ。そんなん俺、絶対Aは無理して勉強するって分かっとったんに止めへんかってんで、」
「っ、でも！」
「でももクソもあれへん。ごめんな、…しんどかったやろ」
優しい声色に、辛くも悲しくも無いのにじわりと涙が滲んだ。
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美雨 - この作品お気に入りすぎて5回くらい見ました、、、()本当に素敵な作品できゅんきゅんしまくりです！！！最後の言葉がぐっと来て本当に泣きそうになりました。素敵な作品ありがとうございました。 (2023年1月7日 17時) (
レス) @page50 id: c21832273f (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆ - はぅ、、、、、とんとん、、、、、ちゅき、、、、、 (2020年9月28日 11時) (レス) id: f773b15172 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - 初コメ失礼します…あー！！！！！甘酢っぺぇ！会社の方見てからこっち来たんですけどどっちも甘々なのになんか、両方とも違う甘々でくっときました…天才ですか…好きです。長々と失礼いたしました…これからも応援しています…！ (2020年7月13日 6時) (レス) id: 57a2a5c5a9 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もうなんか今順番に読んでるんですけど必ずと言っていいほど泣くんですけど、え？tn氏かっこよすぎん？好き。 (2020年5月26日 3時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 初コメ失礼します！もう感動しすぎて泣いちゃいました........ (2020年5月13日 17時) (レス) id: a7dcf8f420 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2019年12月31日 0時
