可愛い人 ページ6
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「いやでも…家に誘った記憶は朧げながらあるんよな…」
あの日、飲みの席でずっとトンちゃんの隣をキープしていた私。
チラホラ周りの女の子の視線を感じつつも、やっと巡ってきたタイミングを逃してなるものかと居座り続けた。
お開きの時間になり、へろへろになっていたトンちゃんを責任持ってタクシー乗り場まで連れて行き、今日の戦果を果たしたぞ！よくやった私！と勝利の余韻に浸っている最中、『…あー、…うち来る？』なんて、お酒の力も相まった熱っぽい瞳で見つめられた事、私は一生どころか三生くらい忘れない。
「…私も覚えてるよ、」
トンちゃんさえ良ければアンコールも頂戴したいくらいですけど。
「それに私、断らなかったじゃん。だからまぁ……そういうことだよ、」
いやどういうことよ、というツッコミが聞こえて来なくもないけれど、これでトンちゃんがちょっとは私の気持ちに気づいてくれたらな、と思ったり。恐らくトンちゃんは鈍感なのでそれは叶わないけれど。
「……、あー、うん…いやなんか俺飲み過ぎててんな、あん時」
「ふふ、横にいたから知ってるよ」
かなりゆっくりオフィスへと進めていた足もいよいよ止めて、本格的な立ち話の体制に入る私達。
しどろもどろ、目線を右往左往させながらトンちゃんがポツリと話し始める。
「言い訳する訳じゃないんやけど…、Aちゃん何でかずっと横におるから変に緊張してもうて、」
会社の飲み会であんなに飲むことないねんけど、と。
つまり私との会話に緊張してお酒が進んだと。え？なにそれ。
「トンちゃん…！可愛いね」
「誰が可愛いねん馬鹿にしとるやろ、」
目が輝くのを抑えきれなかった私を冷たく一蹴するトンちゃん。そんな所も可愛い。
「けど…Aちゃんが俺の事避けたりせんといてくれたから改めてちゃんと謝れたわ、」
「だから謝らなくても、」
「そういうわけにはいかんねん。女の子やねんから」
女の子。
不意に言われた言葉にドキリと心臓が高鳴る。
初めて私自身を見てくれたような気がして、トンちゃんは真剣に話してくれているのについ喜んでしまう。
「……うん、ごめん。 でも私、トンちゃんを避けたりしないよ」
だって好きなんだもん。
ずっとずっと前から。
「そうしてくれたら俺も助かる、…ありがとう」
安堵したように笑うトンちゃん。
時刻はとうに定時を過ぎた。慌ててオフィスへと戻るその背中に、絶対振り向かせてみせる、なんて1人でこっそりと誓った。
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林檎(プロフ) - え、これも神作品ですね。tnちゃん可愛すぎかよ。 (2020年5月26日 2時) (
レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - おいちこさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます；；最新作以外全て完結済ですので、ぜひ覗いて見てください( ´ ` *)コメントありがとうございました！ (2020年2月5日 17時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
おいちこ - こんなに面白いの読んだことないわ...！めっちゃ最高でした！神作品ありがとうございますぅぅっっ！！トントンさんのこともっと好きになりました。他の作品も読ませていただきますね！ (2020年2月5日 16時) (レス) id: 5e1cddc80f (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - しゅなさん» プロ結果頂き光栄です(涙)こちらも覗いてくださりありがとうございます！連載中の作品もお楽しみいただけたら幸いです( ´ ` *) (2020年1月1日 21時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
しゅな - はいプロ、神。これは…鼻血だらだらですわ。とんち可愛ええ！＋イケメン！…は？…僕もう…昇天したんやけどｗｗｗ (2020年1月1日 19時) (レス) id: e68f489c1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2019年12月20日 22時
