曇天の過ち ページ21
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報告会も終わり、またオフィスにいつもの日常が戻ってくる。
私はと言えば、残業も程々に、お昼は鬱と2人で過ごし、トンちゃんとは当たり障りのない会話しかしない、というなんにも進化しない日々を過ごしている。
………私、ずっとこのままでいいんだろうか。
でもどうすればいいか分からないんだもん、という小学生のような理由で何も出来ずにいた。
今日は少し天気が悪い。湿気で髪も纏まらない。
キープ力を失った毛先を指先で摘みながら急ぎ足で会社の自動ドアをくぐった。
と、オフィスへの階段を登りかけた時、ふとコピー用紙のストックが無くなりそうだったことを思い出し倉庫への道に踵を返す。
「よいしょっ……と、」
紙は紙でも、何枚も重なると鉛のように重たいもので。
「あのぉー……」
「！あ、はい？」
今度こそ階段を登ろうと足をかけた時、後ろから控えめに呼び止められ弾かれたように振り向く。
立っていたのは顔はどこかで見たことがあるな…と言う程度の認識の後輩だった。
彼女が私にうつむき加減に差し出したのは、2つ折りにされた手紙。
……え？私に？
「あの、これ…ご迷惑でなければでいいんですけど、……鬱くんに、渡してもらいたくて、」
「あ、あぁ……そういう…」
一瞬、そっちの趣味はないなどと考えてしまった自分が恥ずかしい。
私で良ければ渡してくるよ、と言うと、パァっと花が咲いたように微笑む後輩。
ちくしょうかわいいなぁ…私もそんな可愛く恋愛できたらなぁ…と卑屈になりながらもピンク色の手紙を預かろうとして、
「あ、…ごめん。ちょっと手がふさがってるから、バッグに入れてもらえる？」
肩に下がったバッグを後輩の方へ向けると、忙しい時に声かけちゃってすみません、とこれまた可愛く控えめに手紙をバッグに入れる後輩。今更だけど、バッグに鼻かんだティッシュとか入ってなかったかな。
「本当にありがとうございます、失礼します…！」
頭と膝がくっつきそうなお辞儀をされ慌てて会釈を返す。
「……あ、やば！遅刻、」
始業5分前のチャイムが聞こえ、慌てて階段を駆け上がる。
慌てていた私は、全く気が付かなかった。
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「ん…？Aちゃんー！なんか落としたで…って足速いな、」
たった今預かった手紙を急いだせいで落としてしまったこと、
「…？なんやこれ……『鬱くんへ』…って、」
ちょうどその時、私のすぐ後ろを歩いていたトンちゃんが、偶然それを拾ってしまったこと。
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林檎(プロフ) - え、これも神作品ですね。tnちゃん可愛すぎかよ。 (2020年5月26日 2時) (
レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - おいちこさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます；；最新作以外全て完結済ですので、ぜひ覗いて見てください( ´ ` *)コメントありがとうございました！ (2020年2月5日 17時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
おいちこ - こんなに面白いの読んだことないわ...！めっちゃ最高でした！神作品ありがとうございますぅぅっっ！！トントンさんのこともっと好きになりました。他の作品も読ませていただきますね！ (2020年2月5日 16時) (レス) id: 5e1cddc80f (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - しゅなさん» プロ結果頂き光栄です(涙)こちらも覗いてくださりありがとうございます！連載中の作品もお楽しみいただけたら幸いです( ´ ` *) (2020年1月1日 21時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
しゅな - はいプロ、神。これは…鼻血だらだらですわ。とんち可愛ええ！＋イケメン！…は？…僕もう…昇天したんやけどｗｗｗ (2020年1月1日 19時) (レス) id: e68f489c1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2019年12月20日 22時
