正体 ページ9
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「そんで？ なんかあったん？」
ココアをポトリと机に置き、顔を覗き込まれる。
下を向いて押し黙っていれば、まさか泣いとった？と尋ねられ、そうじゃないと首を振った。
「……でも、事が事なら泣くかもしれない」
「なんやねん。トントンか？」
「さすが、大正解」
ふふ、と笑ってそう言って、さっき見た出来事をシャオちゃんに話す。
「ねぇ、トンちゃんて彼女いるの？」
「さぁ…おらんと思うけどな、聞いたことないし」
いい歳した男同士でそんな話もせーへんし、と首を傾げるシャオちゃん。
そりゃそうか、とため息。スっと隣から伸びた手が、そんな落ち込むな、と頭をポンポンと撫でる。
シャオちゃんに子供扱いされる日が来るなんて…と若干の敗北感に襲われていると、でも、とシャオちゃんが口を開いた。
「その女の子の正体は何となく目星着いとるで」
「えっ！？そ、それはどんな…」
「でも、聞いたら絶対Aちゃん落ち込むからあんま言いたないねんけど、」
言わなあかん？と困ったように見つめられ、えーと…と言葉を濁す。
「……でも、結局もう落ち込んでるから大丈夫」
「ふふ、あかんやんけ」
「だって気になるもん、そこまで言われたら！」
実際の所、トンちゃんが女の人と話している、という事実だけで私のライフはもう根こそぎ持っていかれているので、ここから更に何か起きようとも良くて仕事を5年無断欠勤するくらいで済むだろう。良くない。
「まぁいずれは知ることになると思うから言うけど……それ多分、元カノやで」
「……、」
「ほらやっぱり。 死んどるやんけ」
「………ギリ、」
仕事を5年無断欠勤案件だけで済んだことを誰が褒めて欲しい。
そりゃあ、あんなにかっこいいんだもん。あんなに仕事もできるし優しいんだもん。元カノの1人や2人いたって不思議じゃない。
だから、大丈夫、大丈夫。落ち着け。
スーハースーハー、と深呼吸を繰り返してペチンと頬を叩く。
よし。大丈夫。いつも通りだ。
「………帰ろっか、シャオちゃん」
「ん？うん、…あ、俺まだ片付けとかしてへんから帰られへんわ、最悪や」
立ち上がって頭を抱えるシャオちゃんがおかしくて、沈みこんでいた気持ちが少し軽くなった。
私も急げば８時台の電車に乗れるかな…なんて考えながら、お疲れ、と手を振ってシャオちゃんを見送る。
.
「………あれ？まだ残ってたん？」
「っ！」
背後からかけられた声に肩が跳ねる。
「 …………トンちゃん、」
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林檎(プロフ) - え、これも神作品ですね。tnちゃん可愛すぎかよ。 (2020年5月26日 2時) (
レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - おいちこさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます；；最新作以外全て完結済ですので、ぜひ覗いて見てください( ´ ` *)コメントありがとうございました！ (2020年2月5日 17時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
おいちこ - こんなに面白いの読んだことないわ...！めっちゃ最高でした！神作品ありがとうございますぅぅっっ！！トントンさんのこともっと好きになりました。他の作品も読ませていただきますね！ (2020年2月5日 16時) (レス) id: 5e1cddc80f (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - しゅなさん» プロ結果頂き光栄です(涙)こちらも覗いてくださりありがとうございます！連載中の作品もお楽しみいただけたら幸いです( ´ ` *) (2020年1月1日 21時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
しゅな - はいプロ、神。これは…鼻血だらだらですわ。とんち可愛ええ！＋イケメン！…は？…僕もう…昇天したんやけどｗｗｗ (2020年1月1日 19時) (レス) id: e68f489c1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2019年12月20日 22時
