君の話（４） ページ5
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その日、俺は人生で初めて『今日はバレンタインだ』と起きた瞬間から思っていた。
それは、紛れもなくあの人のせい。
彼女など居ない俺には全く関係の無いそのイベントをそわそわと意識していたのは正にその人に今日彼氏ができるからかもしれなくて、もう学校へ行くのも億劫だった。これも人生で初めて気づいたことだけど、俺はかなり女々しいようだった。
そしてそんな俺の心情を具現化したように、教室の窓から覗く外は曇り空だった。
先輩、お菓子渡したんかな。
朝渡したなら、もうこの学校の誰かと付き合っとるんかな。
あのブラウニー、美味しくなかったって言えば渡すんやめてくれたんかな。
グダグダと最低なことを考えながら俺のバレンタインデーは知らない同級生の女子数名からやけにソワソワしながらお菓子を手渡されただけで終了し、あっという間に放課後になってしまった。
思えば、毎日図書室で会っていたのもお菓子を食べるためだったし、お菓子を食べていたのも今日のこのイベントのためにしていたことだった。
それはつまり、今日が終われば俺はあの先輩と関わりが無くなってしまう。
あぁ終わったと天を仰ぐ。
今頃先輩は知らない男にあのおいしいブラウニーを渡しているか、一緒に帰っているか、どっちでもいいがどっちも俺にとっては最悪だった。
近頃の心情は名前も呼んだことの無いその人にすっかり奪われていた。
今日も最近の癖で覗いた図書室にはやっぱりその姿は見当たらなくて、俺の心の中には外の空模様と同じく雨が降り注いでいた。
あーもう知らん知らん、さっさと帰ってゲームして寝よ、なんて1人お通夜モードに入っていた俺の背後からパタパタと足音が近づいてくる。
「______ドーン！」
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「…………足音まで消さへんと脅かす意味ないすよ、先輩」
「あれ？つま先で走ったつもりだったんだけどな…」
次は踵で走れば…と顎に手を当て真剣な顔のその人に、俺は至極当然の疑問を投げかける。
「なんでここにいるんです？」
彼氏はどうしたんですか、と聞かなかったのは男のプライド。
俺の問いに目をぱちぱちとさせた彼女は、不思議そうに小首を傾げた。
「だって、ショッピ君が図書室スルーして帰ろうとしてるから」
何言ってるの？と言いたげな彼女の紫苑色の目に写った俺もまた、紫苑色の目で何言うとるん？と言っていた。
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くろいるか - shpくん、、、ｗｗｗｗｗめっちゃ振り回されとるやないですかｗｗｗｗ (2022年10月11日 12時) (
レス) @page44 id: ebfe8bc644 (このIDを非表示/違反報告)
杏 - は、え。わ、好きです…！夢主ちゃんのふわふわしてる感じの性格も好きだし、振り回されるshpくんも好きです…！ゆららさんの作品は全部タイプでしかありません…！神なんですか…？ (2022年5月8日 11時) (レス) id: d5d19811bb (このIDを非表示/違反報告)
のあちゃ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！いやぁ、ショッピくん頑張った！www天然な感じの夢主ちゃんに振り回されるショッピくんが可愛かったですw最初から最後まで楽しんで読ませていただけました！次作も楽しみにしてます！！ (2021年2月16日 23時) (レス) id: 81ad50d586 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - とても大好きです…！もしや夢主ちゃん全ては計算なのでは…？とも考えましたが、とても天然で嫌味のない感じが大好きです！振り回されるshpくんにもとてもキュンキュンします！ (2020年10月30日 22時) (レス) id: 1952a00ad3 (このIDを非表示/違反報告)
みゃび - 誤字りました！！大変だと思うので無理せず頑張ってください！！この時期ですのでお体にもお気をつけて！！応援してます！！！！ (2020年10月30日 14時) (レス) id: 37d62a8c82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年9月24日 22時
