君の話（２７） ページ28
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彼女の家の前、ストンと身体を下ろせば「ご苦労」と労われる。
「ほんまに。タクシー代請求しますよ」
「え〜、浴衣見せてあげたから許してよ」
「なんで上から目線やねん」
クスクスと楽しげに笑うその顔をジト目で見やる。すると、「じゃ、たまにはショッピ君のお願いも聞いてあげる」なんて。「ほんまに？」と聞けば「ほんまです」と返され、急に舞い込んできたラッキーな展開に俺は頭を悩ませる。
「なんでもいいんすよね」
「私にできることであれば」
うーん、と考えるけれども、所詮高校男子の俺にはしょーもない欲求しか浮かばないわけで。
仕方がないから欲望の赴くままに口を開く。
「抱きしめてもいいですか」
「、えぇ？」
「それやったらそっちはなんもせんでもええから楽ですよね」
かなりの妥協でハグを選んだ俺は呆けた顔にグイッと顔を寄せる。
「…………うーん、許可します」
「じゃ、遠慮なく」
そっぽを向いて許可を出され、その言葉と同時に細い腕を引き寄せた。
華奢な身体にそっと腕を回せば、その耳が真っ赤に染まっていることに気づく。
「照れてます？」
「………照れてます」
「ふ、正直やねんな」
可愛い、とほぼ無意識に口から零れた言葉に一層身体を固くさせた彼女は、「…もぉ、やめてよ」と悪態をつきながら控えめに俺の背中にキュッと腕を絡めた。
「なんもせんでええ、って言うたのに」
「…あー、そういう意地悪言うんだ。反抗期」
「ふ、ちゃいますよ、」
可愛い、可愛い。そんな言葉を回した腕に一心に込め、抑えきれずに「めっちゃ好きです」と声を漏らす。
それにはやっぱり反応しない彼女は、その代わりに背中に絡めた腕に少しだけ力を込めた。
「………、慰めのつもりですか」
「んふふ。私も今慰められてるから」
「泣いてもいいんすよ」
「んー…もう、ちょっと泣いてる」
あーあ、嫌になるね、と冗談ぽく言った言葉はもう震えていて、同時にその細い肩も悲しげに揺れる。
「ええな、Aさんには俺がおって」
「…ふ、ショッピ君いないと、私今頃一人で泣いてたから」
去年は1人だったから、と寂しげ濡れた瞳は縁った長いまつ毛をも濡らしていて、目元を親指で拭った。
「泣きたくなったら俺の事呼んでもいいですよ」
「…そしたら、またぎゅってしてくれる？」
「なんぼでも」
そっか、と笑ったその顔は俺だけに見せるいたずらっ子のような屈託ない笑顔に変わっていて、既に俺の嫌いなあの顔はどこにも無かった。
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くろいるか - shpくん、、、ｗｗｗｗｗめっちゃ振り回されとるやないですかｗｗｗｗ (2022年10月11日 12時) (
レス) @page44 id: ebfe8bc644 (このIDを非表示/違反報告)
杏 - は、え。わ、好きです…！夢主ちゃんのふわふわしてる感じの性格も好きだし、振り回されるshpくんも好きです…！ゆららさんの作品は全部タイプでしかありません…！神なんですか…？ (2022年5月8日 11時) (レス) id: d5d19811bb (このIDを非表示/違反報告)
のあちゃ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！いやぁ、ショッピくん頑張った！www天然な感じの夢主ちゃんに振り回されるショッピくんが可愛かったですw最初から最後まで楽しんで読ませていただけました！次作も楽しみにしてます！！ (2021年2月16日 23時) (レス) id: 81ad50d586 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - とても大好きです…！もしや夢主ちゃん全ては計算なのでは…？とも考えましたが、とても天然で嫌味のない感じが大好きです！振り回されるshpくんにもとてもキュンキュンします！ (2020年10月30日 22時) (レス) id: 1952a00ad3 (このIDを非表示/違反報告)
みゃび - 誤字りました！！大変だと思うので無理せず頑張ってください！！この時期ですのでお体にもお気をつけて！！応援してます！！！！ (2020年10月30日 14時) (レス) id: 37d62a8c82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年9月24日 22時
