37話 ページ37
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正直なことを言うと、予想外だった。
どう見ても鬱陶しそうにモモちゃんをあしらっていたあの顔はとても付き合うか否かを考えているようは見えなかったし、そのくせ今、コイツは紛れもなく私と一緒にいるのだ。
もしかして、強引に私を誘っていたのは最初から恋愛相談をするため…?と自分の中で最悪な点と点が繋がり、更に落胆した。色んな意味で。
…いやね、別に勝手に付き合ってもらって構わないですよ。そしたら私は今後の学校生活が穏やかに過ごせるだろうし、必要以上にコイツと関わることもなくなるだろうから。
………と、少し前の私なら言っていただろうけど。
「はぁ〜〜〜〜、トントンに彼女かぁ……」
「なぁ話聞いとった?まだ彼女ちゃうねんけど」
その何気ない″まだ″という言葉にすら過剰反応してしまう私の中には、もう微塵もコイツと関わりたくないという気持ちは残っていないらしい。乙女心はなんとやらと言うけれど、まさにその通りすぎて寧ろこっちの頭がついていかない。
「で、どう思う?」
「どうって…言われても。好きなら付き合えばいいんじゃないの」
事実、私は多少なりともこの男に好意を持っていることは認めるにしても、コイツはそうでは無い。
モモちゃんが好きなら付き合えばいいし、他の女の子が好きならその子と付き合えばいい。
コネちゃんと私は幼馴染。もしコネちゃんが少々評判の良くないような女の子と付き合おうとしていたら私はきっと止めるだろうけど、私とトントンはそういう関係ではない。
寧ろ今までの関係からして、友達と思われているかどうかすら危ういのだ。
そんな私に、コイツが誰とどう付き合おうとも、止める権利も口を出す権利も無かった。
「はぁ……ちゃうやん。なんか勘違いしてへん?」
「……、なんのこと?」
ぎゅっと膝を抱えてぶすくれた顔をしているであろう私に、隣から聞こえてきたのはため息。「いや、だから、」と怒ったようなイラついたような口調になるトントンの方に目をやれば、
「俺はお前に……Aに聞いてんねん。俺が誰かと付き合ったらどう思う?って」
「、へ」
アスファルトを通り過ぎる車の音がやけにうるさく聞こえ、目の前の真剣すぎる眼差しを真正面から受け止める私は、為す術もなく間抜けな声を漏らした。
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k - ほんまに、天才やと思います。いっぱい小説書いてほしい…あなたの作品がとても好きです (2022年3月18日 0時) (レス) @page43 id: a78c62413a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - え?え?待って?コネちゃん夢主ちゃんのことが好きだったってこと?えっえっ好き。 (2020年12月12日 16時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - ルキさん» 完結までお付き合い頂きありがとうございます( ´ ` *)ぜひ続編でお待ちしております!コメントありがとうございました。 (2020年7月18日 12時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
ルキ - すきーーーーーー!!最高!作者様ありがとうございます!続編も楽しまさせていただきます! (2020年7月18日 11時) (レス) id: a52e442f29 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 妹。さん» 予想に反してknさんの人気が高く驚いています…(笑)最後の台詞はこだわっていたのでキュンキュンしていただけたのなら幸いです( ´ ` *)コメントありがとうございました! (2020年7月18日 9時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆらら | 作成日時:2020年5月24日 21時