28話 ページ28
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それからしばらくして戻ってきた他のメンバーと合流し、次の目的地へ向かう。
一人席を陣取ったバス移動の最中もどこからか確かな殺意を感じ、私はもうげっそりだった。
着いた先は大きい水族館。室内。涼しい。
その地に降り立った途端にトントンの手を引いて爆速で館内へ走り抜けて行った歩く殺意を横目で見送り、その後ろをぞろぞろと着いて行った。
チラホラと同じ制服を着た面々が多々見える。同時刻にここへ来たグループもあるだろうから、友達がどこかにいないかな、と視線を這わせる。が、暗くてよくわからない。
元々魚に興味はないので予め伝えられていた集合場所で待っていよう、とそこへ足を向けたとき、「A〜!」と遠くから私を呼ぶ声が聞こえた。
「シャオちゃん!」
「お前もこの時間やったんや、偶然やな」
ニコニコと楽しそうに笑うシャオちゃんを見て、どこか安堵した自分がいた。大して仲良くないどころか喋ったこともないメンバーと一緒にいるより、友達といた方がそりゃ楽しい。
「てか、お前なんで1人なん?他の奴らは?はぐれたんか?」
「知らない。興味無い」
「あー…まぁそりゃそうか、」
納得した様子のシャオちゃんは、ふと思い立ったかのように顔を上げ、「せや、」と。
「A、俺とおる?今だけでも。そのほうがええやろ」
「え………天才か、」
持つべきものはやはり友達、とその屈託ない笑顔に甘えることにした。
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とはいえ高校2年生。恋人と来ているのならまだしも、友達同士で見る魚などお互い興味もない。
故に始まる、止まらない雑談。
「お前さ、ぶっちゃけトントンとどうなん」
「どうも何もない」
ニヤニヤとこちらを見るシャオちゃんにピシャリと否定。確かに嫌いではないけれど、それ以上でもそれ以下でもない。
「そうか?なんか最近お前ら、前と雰囲気ちゃうなと思って」
「……うーん、それは私も認める」
やっぱり、他者の目から見てもここ最近の私たちの変わりっぷりは顕著らしい。
飛び交う暴言は相変わらずだけど、それに加えて別種類の訳の分からない感情に苛まれているのは事実だから、何も言えなかった。
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k - ほんまに、天才やと思います。いっぱい小説書いてほしい…あなたの作品がとても好きです (2022年3月18日 0時) (レス) @page43 id: a78c62413a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - え?え?待って?コネちゃん夢主ちゃんのことが好きだったってこと?えっえっ好き。 (2020年12月12日 16時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - ルキさん» 完結までお付き合い頂きありがとうございます( ´ ` *)ぜひ続編でお待ちしております!コメントありがとうございました。 (2020年7月18日 12時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
ルキ - すきーーーーーー!!最高!作者様ありがとうございます!続編も楽しまさせていただきます! (2020年7月18日 11時) (レス) id: a52e442f29 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 妹。さん» 予想に反してknさんの人気が高く驚いています…(笑)最後の台詞はこだわっていたのでキュンキュンしていただけたのなら幸いです( ´ ` *)コメントありがとうございました! (2020年7月18日 9時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆらら | 作成日時:2020年5月24日 21時