検索窓
今日:15 hit、昨日:8 hit、合計:293,026 hit

23話 ページ23

.

誰もいない教室で2人、ひとつの机で答案を囲み、あれやこれやと言い合う。


ふと思えば、この間初めて一緒に寄り道をして以来、まともに会話していなかった。
コネちゃんに対する負い目だとかそんなつもりは全くなかったけれど、なんとなく顔を合わせづらかったのだ。


それはなぜかと言えば、単純に私があの時したやり取り(主に間接キスとか間接キス)を思い出してべらぼうに意識してしまっているからである。



あの出来事以来、それまで大嫌いだったヤツがそこまで嫌いじゃなくなって、
冷酷な目付きしか見た事がなかったのに時折子供みたいな笑顔を私に見せるようになって、


それどころか私はその笑顔にどうしても弱くて。



できる限り関わりたくない人物ランキングNo.1だったのに、私は今こうして自分からコイツの教室に出向き、コイツの席に座り、そしてコイツのシャーペンを勝手に使っているのである。



「はぁ〜〜〜〜〜……」
「なに?まだ分からへん?」
「わかんない………」


自分の気持ちの変化が。まるで手のひらで転がされているように様変わりした目の前のコイツに渦巻くこのもにょっとした胸の内に、心が着いていけない。

どこが分からへんの?なんて身を乗り出したトントンからふわりと柔軟剤の香りがして、ブンブンと頭を振った。匂いだけで意識するとか、もう私、変態じゃん。



でも、私自身変わったのは認めるけれど、変わったのは私だけじゃない。



「A、そない理解力ないわけちゃうやろ」



柔らかく笑いながらそう言うトントン。



前より少しだけ私に優しくなった。
たまに名前で呼ばれるようになった。
クラスメイトに見せるものとは違う笑顔を、私に向けるようになった。




その突然の変化も、私の心が置いてけぼりになっている理由だった。

確かに、男友達以下だった扱いをどうにかしろと思っていた節はあった。
だけど、いきなりこんなに様変わりするなんて思わないじゃん。

そんな特別扱いみたいなことされたら、そりゃ、意識するよね。私おかしくないよね。

24話→←22話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (324 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
814人がお気に入り
設定タグ:wrwrd , d! , tn
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

k - ほんまに、天才やと思います。いっぱい小説書いてほしい…あなたの作品がとても好きです (2022年3月18日 0時) (レス) @page43 id: a78c62413a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - え?え?待って?コネちゃん夢主ちゃんのことが好きだったってこと?えっえっ好き。 (2020年12月12日 16時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - ルキさん» 完結までお付き合い頂きありがとうございます( ´ ` *)ぜひ続編でお待ちしております!コメントありがとうございました。 (2020年7月18日 12時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
ルキ - すきーーーーーー!!最高!作者様ありがとうございます!続編も楽しまさせていただきます! (2020年7月18日 11時) (レス) id: a52e442f29 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 妹。さん» 予想に反してknさんの人気が高く驚いています…(笑)最後の台詞はこだわっていたのでキュンキュンしていただけたのなら幸いです( ´ ` *)コメントありがとうございました! (2020年7月18日 9時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆらら | 作成日時:2020年5月24日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。