12話 ページ12
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私が数式を書き連ねている片隅、同じノートの端にちょこちょこと何かを描いているトントン。
初めは気にも留めずにいたけれど、そういえばこのノート提出するんじゃん、と気がついた時、「見て見て」と笑い混じりにトントンの声が飛んでくる。
「……っふ!なにこれ、」
「なにてお前、どう見てもシャオロンやろこれ」
「はは!似てな!」
ちまちまと描かれたそれは、よくシャオちゃんが私服で被っているニット帽と、彼がいつも持ってるキャラクターのピンを付けてる人型の何か。
言われるまでなんだか分からなかったそれは、見れば見るほどじわじわとシャオちゃんに見えてきて笑いが込み上げる。
「……ふは、やめてよ、授業中笑っちゃう、」
「ええな、それで怒られてしまえ」
「折り曲げとこうっと」
「あれ?消さへんの?」
指摘され、そろりと目を逸らす。
それもそのはず、提出するんだから、消さなきゃいけないのに。
「あー…ほら、シャオちゃんに見せようかなーって」
ちまちまと試行錯誤しなから楽しそうに描いていたトントンを見ていて、何となくその選択肢は浮かばなかったのだ。
「ええなそれ、なんて言うてたか教えてや」
「…あーうん、いいよ」
なんだろう。
トントンて、こんな楽しそうに笑う人だった?こんな子どもっぽい顔して笑ってた?
それに私、なんでこんなに動揺してるんだか。
思いっきり普段の調子が狂わされるその無邪気な顔は、わけも分からず私をタジタジにさせた。
「てか、お前昼食うてないんちゃうん?」
「あ……全く忘れてた」
「うわかわいそ…まぁ1食くらい抜いた方が釣り合い取れるんちゃう?」
「誰がデブだ!」
もにょっとした気分に浸っていたのも束の間、いつもの調子で貶されつい私もいつものように突っ込んだ。
キッと睨んだ顔はいつもの私を馬鹿にする時の表情で、ふつふつと怒りが込み上げるその傍ら、なんとなくほっとしたような自分もどこかにいて、やっぱり胸の内がもにょっとした。
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k - ほんまに、天才やと思います。いっぱい小説書いてほしい…あなたの作品がとても好きです (2022年3月18日 0時) (レス) @page43 id: a78c62413a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - え?え?待って?コネちゃん夢主ちゃんのことが好きだったってこと?えっえっ好き。 (2020年12月12日 16時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - ルキさん» 完結までお付き合い頂きありがとうございます( ´ ` *)ぜひ続編でお待ちしております!コメントありがとうございました。 (2020年7月18日 12時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
ルキ - すきーーーーーー!!最高!作者様ありがとうございます!続編も楽しまさせていただきます! (2020年7月18日 11時) (レス) id: a52e442f29 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 妹。さん» 予想に反してknさんの人気が高く驚いています…(笑)最後の台詞はこだわっていたのでキュンキュンしていただけたのなら幸いです( ´ ` *)コメントありがとうございました! (2020年7月18日 9時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆらら | 作成日時:2020年5月24日 21時