2話 ページ2
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清々しい朝なのに嫌な奴とタイマンを張ってしまい、憂鬱な水曜日が更に憂鬱へと様変わり。
あいつめ…むかつく…なんて呪詛を吐き散らかしながら教室へと入室した私を「お、」なんて迎え入れたのは、仲良しのシャオちゃんだった。
「人殺 しに行く顔してんで?」
「許可が貰えるなら今すぐにでも」
「まーたトントン?お前らほんま仲良しやな」
「ど、こ、が」
ケラケラと笑うシャオちゃんを睨みつけ、吐き出す呪詛はため息に変わり私の口からこぼれ落ちる。
私とトントンのタイマンはこの学校では有名なイベントだった。毎朝繰り広げられる押し問答を『仲がいい』と勘違いしている節穴も多々いるようで、今すぐにでもアイツと縁を切りたいのは山々だが、遅刻癖だけは治らないのだった。
「でもあれやん、Aが教科書借りるときいつもトントンの借りてくるやん」
「だって1番手前に座ってるんだもん」
「それにアイツもさ、放課後は毎日お前に会いに来るやん」
「反省文のための原稿用紙片手にね、あの悪魔め」
その節穴アイを開けよと即座に否定する私にシャオちゃんはまだ「ええ〜〜?」なんて不満げな声を漏らしながらニヤニヤとこちらを伺ってくる。鬱陶しい。
「やめて、全然タイプじゃないから、あの男」
「Aって面食いちゃうかったん?」
「ちゃうわ!失礼な!」
ばしばしと机を叩きながら抗議すれば、「いが〜い!」なんて嘲笑されるのでその節穴アイに指を突き立ててやりたい衝動に駆られつつも、既の所で理性で押しとどめる私の菩薩っぷりといったらない。
そりゃ顔が良い人には無条件に目がいくけれども、別に判断材料はそれだけじゃないもん。ほんとだもん。
だがしかし、私の宿敵であるアイツ。
困ったことに顔面が強い以前に顔が良のである。
別にそれに対してときめきを覚えることなどないが、その顔の良さに免じて幾度となくしつこいお説教を受けることも受け入れてしまっている自分も少なからずいるわけで。
非常に不本意ながら、私は高校2年生、単細胞。(自己紹介)
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k - ほんまに、天才やと思います。いっぱい小説書いてほしい…あなたの作品がとても好きです (2022年3月18日 0時) (レス) @page43 id: a78c62413a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - え?え?待って?コネちゃん夢主ちゃんのことが好きだったってこと?えっえっ好き。 (2020年12月12日 16時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - ルキさん» 完結までお付き合い頂きありがとうございます( ´ ` *)ぜひ続編でお待ちしております!コメントありがとうございました。 (2020年7月18日 12時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
ルキ - すきーーーーーー!!最高!作者様ありがとうございます!続編も楽しまさせていただきます! (2020年7月18日 11時) (レス) id: a52e442f29 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 妹。さん» 予想に反してknさんの人気が高く驚いています…(笑)最後の台詞はこだわっていたのでキュンキュンしていただけたのなら幸いです( ´ ` *)コメントありがとうございました! (2020年7月18日 9時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆらら | 作成日時:2020年5月24日 21時